絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

あの頃ウォッチメンと。

 ウォッチメン。ちょー面白かった、オープニングのボブ・ディランから震えっぱなし、ロールシャッハにはあらゆるシーンで泣かされざるを得ないし、Dr.マンハッタンの「?顔」もかわいいし。人工知能とかアンドロイドに燃えるおれとしては、ブラを手に小首をかしげるDr.マンハッタンの動きを完コピしたいところ。あとロールシャッハの喋り方も。
 あとはねー、ラバーフェチの二人が盛り上がったときの腰使いとイキ顔がすごく良かった。火炎放射! ドーン! バカ! あの二人は見てて飽きないバカップル。というかあの三角関係はどういうことなの……火星のメロドラマシーンは最高だった、そんな! ショック! パリパリーン、ドーンドドーン!
 とにかく萌えたし燃えたし泣けたし笑えた。もちろん「ワハハ」って笑ったわけじゃないし「ウェーン」って泣いたわけでもない。世界の終わりはメソメソニヤニヤしてるといつの間にかやってくるのだ。いまが1985年であれ、2009年であれ、平等に、差別なく。
 
<火星シーンのラスト、超ロングショットを見て。
観終わったあとはこう>
 
 でもね、吹き替えの方がもっと楽しめる気がしたよ。あの「いかにも洋画吹き替え!」って感じの声でもう一度観たい。そしたら「真面目なんだかふざけてんだかわかんない」って楽しめなかった人も、少しは伝わるんじゃないだろうか、悪い冗談ってやつの怖さと面白さが。

あの頃ペニー・レインと (マクミランCinema Club)

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ウォッチメン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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WATCHMEN ウォッチメン Official Film Guide (ShoPro Books)

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追記:おれはDr.マンハッタンが好きすぎる。

 わたしがトラルファマドール星人から学んだもっとも重要なことは、人が死ぬとき、その人は死んだように見えるにすぎない、ということである。過去では、その人はまだ生きているのだから、葬儀の場で泣くのは愚かしいことだ。あらゆる瞬間は、過去、現在、未来を問わず、常に存在してきたのだし、常に存在しつづけるのである。たとえばトラルファマドール星人は、ちょうどわれわれがロッキー山脈をながめると同じように、あらゆる異なる瞬間を一望のうちにおさめることができる。彼らにとっては、あらゆる瞬間が不滅であり、彼らはそのひとつひとつを興味のおもむくままにとりだし、ながめることができるのである。一瞬一瞬は数珠のように画一的につながったもので、いったん過ぎ去った時間は二度ともどってこないという、われわれ地球人の現実認識は錯覚にすぎない。
トラルファマドール星人は死体を見て、こう考えるだけである。死んだものは、この特定の瞬間には好ましからぬ状態にあるが、ほかの多くの瞬間には、良好な状態にあるのだ。いまでは、わたし自身、だれかが死んだという話を聞くと、ただ肩をすくめ、トラルファマドール星人が死人についていう言葉をつぶやくだけである。彼らはこういう、"そういうものだ"。
スローターハウス5』P39