絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

アリスインデッドリースクールパラドックス 8月11日より上演

 というわけで。
 2016年8月11日から上演される『アリスインデッドリースクールパラドックス』という舞台の脚本を書きました。こちらの舞台はいわゆるゾンビが出現し、学校の屋上に閉じ込められた女学生たちが、さまざまな人間ドラマを見せる作品なんですが、ひとつ重要なことがあります。
 彼女たちの世界には、ゾンビ映画がないんです。
 だから彼女たちはまず、死体が動き出すこの奇怪な状況に初めて対峙して、なんとか生き残ろうとしてもがき、戦いますし、素っ頓狂な解決策を思いついては混乱に身を投じたりします。観客の多くはゾンビといえば頭を銃で撃てば死ぬ、といった基本情報を知っていますし、作劇的にも「なんでわざわざゾンビって言わないで呼称をバラけさせるんだ」と批判されることも、過去にはありました。
 でも、これは、そういう話じゃないんですよ。ぼくたち人生がゾンビになってしまった者たちが、生まれてはじめてゾンビ映画を観たときの感覚、あ、これは世界が終わるんだ、どうしようもないんだ、という感覚を、どうにかして作品の中に封入したかったんです。
 2010年に書いたとき、まさか翌年にあんなことが起こるなんて思ってもいませんでした。演劇界でも直後は自粛の嵐で、知り合いの劇団が自粛のために潰れたりしていました。ぼくも「ああこれでデッドリースクールは二度と再演できない世界がやってくる」とさえ思いました。
 でも、世の中はそれほどナイーブに過ぎることもなく、2013年の再演から、マンガ化、そして地方公演と、デッドリースクールは生き延びてきました。まだあまり表だって語られることの少ない作品ではありますが、多くの方に感想をいただきました。
 そしていままた、新しいデッドリースクールを上演できることに、感謝します。
 
 http://alicein.info/