地獄とは、神の不在である。
キーワード無神論が停滞していたので、再度編集した。
友達から「アンパンに例えたらわかりやすいんじゃない?」と言われたので、そう書いてみよう。無アンパン論者と、有アンパン論者の会話。
私は言った
「この部屋にアンパンは置いてない、だからアンパンはこの部屋にはない」
彼は答えた
「しかし、いつかこの机の上にアンパンが置かれるかもしれない」
私は続けた
「でもこの部屋のドアには外から鍵がかかっているから、誰もアンパンを買いには行けない」
彼はいぶかしんだ
「そうでしょうか?机の上にアンパンが染み出てくるかもしれない」
私は驚いた
「アンパンは染み出ない!染み出るパンって何だ?」
彼は余裕を取り戻した
「第一、部屋の外にはアンパンがあるかもしれないのに、なぜ否定するのです」
私は唇をなめた
「部屋の外にアンパンがあるかどうかはわからない。少なくとも部屋の中にはない」
彼は微笑んだ
「なぜそう言い切れるのです、机の上にアンパンがあるのだけど、見えないだけかも…」
私は汗をかいた
「いや…ないように見えるけど……そういうことじゃない!」
彼は眉をひそめた
「なぜ、そんなにも、アンパンがないことにこだわるのです、あなたはアンパンを憎んでいるのですか?」
私は歯噛みした
「憎んでない!私にはアンパンを憎む理由がない!私はただ、あなたが突然『アンパンが食べたいなあ』って言い出すから『でも、アンパンありませんよね』って言っただけだ!」
彼は呆れた
「可哀想に、アンパンがいつかこの部屋に現れたとして、あなたはそのときに胸をはって『アンパンはない!』と言えますか?」
私は泣きそうになった
「いや、そのときはアンパンがあるのでしょう、だったら『ありますね』と言いますよ」
彼は飛びのいた
「おそろしい!あなたには一貫性というものがないのか?!」
私はしゃがみこんだ
「だって、あるなら認めますよ!でも現にアンパンはここにはない!部屋からは出られないし、食べるものは何もない!」
彼はいぶかしんだ
「しかしあなたは頑固だから、アンパンが目の前に現れても認めないかもしれない」
私は床を見た
「どうしてそんなふうに決め付けるんです、私はただ今ここにアンパンが……」
彼は心配した
「もしかして、あなたはアンパンがないという考えを盲信しているのでは?」
私は顔をあげた
「大丈夫です、ないものをないと言っているだけですから」
彼は激昂した
「だから!いつか!この机の上に!」
私は立ち上がった
「ああ、すみません!そうですね!いつか現れるかもしれませんよね!」
彼は警戒している
「……もし、アンパンが現れても、あなたには、あげませんよ」
私はため息をついている
「はい、どうぞ食べてください」
アンパンは、染み出ない。
なんか、この題材で短編を書くなら、嵐で屋根が吹っ飛んで空から大量のアンパンが降ってくる(パン工場から飛んできたのかな…)とか、アンパンマンがドアを破って現れる風景を幻視しながら餓死するとか、神様が現れて「アンパンと、ドアを開けるのどっちがいいですか?」って聞かれて"彼"が思わず「アンパン!」叫んじゃうとか、そういうのだろうなあ、って思いました。もうひとひねりないかなあ。