生タマゴあった
突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働・アルコール中毒・強制入院まで。波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション!(オビより)
映画『SPAN』の感想(id:screammachine:20040621)でも書いたけれど、薬物や自傷*1に逃げ込まざるを得ない弱さ、そして逃げ込んだ末の混乱、やがて訪れる絶望やあきらめ、それらを描いた作品に対して、ぼくが抱く感情は、決して同情や憐憫といったものではない。かといって、もっとまっとうに生きればいい、というような憤りもない。
ただ、そのように生きるしか方法がないのだ。だから黙って見るしかぼくには出来ることがない。それに、そういうひとは、何も残さずに死ぬ場合が多いので、誰かがまとめてくれないと、生きていたことを皆が忘れてしまう気がする。
吾妻ひでおは、生還者だ。吾妻ひでおの手によって描かれた『失踪日記』が読めることを、ぼくはうれしく感じる。