絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

てなわけで

絶叫機械+絶望中止の記事をインポートしております。

はてなダイアリーが終わる、という。ジオシティーズも終わるし、ぼくの知っていたインターネットは、だんだんと消えてなくなっていく。

でもまあ、人生だって終わる。たまたま文字をかけて、運が良く人にも読めて、それである程度の人たちの思い出に残っていたとしたら、それだけでずいぶん幸せじゃないかと思う。

死んでいった友達もたくさんいる。その列にいつか加わるだけだ。

健康に気をつけるようになった。深酒もしない。まあまあ肝臓の数値もアレだし。酒に酔うよりも楽しいことも世の中にたくさんあることを知った。四十数年、犬なら三〜五回くらい生きてる。

これからもいろんな人に迷惑をかけたり、喜ばせたりして生きたい。

アリスインデッドリースクールパラドックス 8月11日より上演

 というわけで。
 2016年8月11日から上演される『アリスインデッドリースクールパラドックス』という舞台の脚本を書きました。こちらの舞台はいわゆるゾンビが出現し、学校の屋上に閉じ込められた女学生たちが、さまざまな人間ドラマを見せる作品なんですが、ひとつ重要なことがあります。
 彼女たちの世界には、ゾンビ映画がないんです。
 だから彼女たちはまず、死体が動き出すこの奇怪な状況に初めて対峙して、なんとか生き残ろうとしてもがき、戦いますし、素っ頓狂な解決策を思いついては混乱に身を投じたりします。観客の多くはゾンビといえば頭を銃で撃てば死ぬ、といった基本情報を知っていますし、作劇的にも「なんでわざわざゾンビって言わないで呼称をバラけさせるんだ」と批判されることも、過去にはありました。
 でも、これは、そういう話じゃないんですよ。ぼくたち人生がゾンビになってしまった者たちが、生まれてはじめてゾンビ映画を観たときの感覚、あ、これは世界が終わるんだ、どうしようもないんだ、という感覚を、どうにかして作品の中に封入したかったんです。
 2010年に書いたとき、まさか翌年にあんなことが起こるなんて思ってもいませんでした。演劇界でも直後は自粛の嵐で、知り合いの劇団が自粛のために潰れたりしていました。ぼくも「ああこれでデッドリースクールは二度と再演できない世界がやってくる」とさえ思いました。
 でも、世の中はそれほどナイーブに過ぎることもなく、2013年の再演から、マンガ化、そして地方公演と、デッドリースクールは生き延びてきました。まだあまり表だって語られることの少ない作品ではありますが、多くの方に感想をいただきました。
 そしていままた、新しいデッドリースクールを上演できることに、感謝します。
 
 http://alicein.info/

死体はない、そこに死があるだけ

 シン・ゴジラという映画を観て、おれはしばらく席を立つことができなかった。隣に座った友人と顔を見合わせ「良かったな」「うん、良かった」と言いあうことしかできなかった。ただただ、この20年が報われたと、感謝の気持ちでいっぱいになっていた。
 スピルバーグ監督の『宇宙戦争』で一番怖かったのは、火焔に包まれた電車が悲鳴のような軋みをあげて通り過ぎる場面だ。そこには燃え盛る死体も逃げ惑う人もなかったが、確実に死があった。劇場でひじ掛けを握り、必死で怖さに耐えた。
 シン・ゴジラには、全編にわたってそういう恐怖が満ちていた。ポリティカルコメディのような前半部、ライトスタッフな中盤、そして宇宙大戦争のマーチが鳴り響く後半部。20年間で学んだ過去の記憶が面白さを倍増させる。そう、これらのある種愉快でもあるシーンに忍び寄る、死の陰り。短いカットひとつにも、家族を失い、家を失い、帰る場所を失った末に生き残った人々の苦しみと怒りと、それを越えようとする葛藤があった。こんなにも切り詰められた役者の良さを堪能できる映画を「怪獣映画」として見られるとは思っていなかった。本当にすべての役者が役として輝いていた。そこに生きていた。
 だから、おれにとってのシン・ゴジラは、大変濃厚な人間ドラマであった。
 そうだ、死んだ者はいなくなる、生きてる人間しか、生きてる人間の前にはいない。現実と同じだ。だがおめおめと生き残ったおれは、また明日も生きていこう、生きている限りは、何かを作り、誰かに託そう。託されたものを誰かに伝えなければ、それをできるのだから、やらなければ。そのように鼓舞されたあと、三日ほどじんましんを出して寝込んだので、生きていくのは大変だ。
 

人生がゾンビなんです。

 舞台『アリスインデッドリースクールパラドックス』が8月上演決定でございます。こちらは「ゾンビと女子高生、屋上からの脱出」という作品になっておりますので、私もゾンビの人として周知を徹底していきたい所存です。ゾンビの歴史に詳しい人、とかゾンビ映画のことなら何でも知ってる人、なんて恐れ多いものじゃないですよ。ただの「ゾンビの人」です。先日はゾンビメイクのテストをしている際にツイートしたらニュースサイトに取り上げてもらえるほどには話題になったみたいです。
発端のツイート
麻草郁 on Twitter: "電車でいきなり知らない人に噛まれた、めっちゃ痛い、血はあんまり出てないけど、すごく痛む。明日病院に行こうと思う… "
まとめてくれたニュースサイト
http://spotlight-media.jp/article/297842666598792831
 ときどきリプやDMで「コツを教えてください」とか聞かれるんですが、こんなの見て真似するほかないです。細い面相筆とスポンジを使ったら誰でもやれます。だからメイキングとかもアップできない、地味すぎて。かなしい。でもまあ一万とかRTされると、いろんな人に発見されて面白いですね、もっと10万とか100万とか行くにはどうしたらいいんですかね、ゾンビじゃダメかしら。
 こう毎日ゾンビゾンビと言っていると、何がそんなに面白いんだ、と、問われることもあるわけです。ゾンビの何が面白いのか。グロいところか、とか。そりゃまあグロいところは面白いですし、ちょっと脳が溶けちゃってアホになってるところも好きなんですけど、ゾンビの何がいいって、やたらと寂しいところですね。圧倒的に寂しい。ほかのホラーモンスターがテンション高くキャラクター化される中、ゾンビはその他大勢ですからね。まったくキャラが立ってない。映画内でキャラの立っているゾンビ山ほどいますが、それは映画の垣根を超えて他作品に引用されるほどのものではない。あくまで作品内でのキャラ立ちです。その代わりゾンビは誰もがなれる、パレードだってできる。ドラキュラパレードとか、意味がわかりませんし、狼男パレードなんてほとんど暴動です。
 閑話休題。その寂しさの起因は何によるものかといえば、それこそ「長いお別れ」であると言えるのではないでしょうか。ゾンビになった、なってしまった彼とは、もはや前と同じようには過ごせない。だってもう死んでしまっているから。でも、彼は目の前にいて、動いていて、何か言葉も通じそうな気がする……気がするだけで、手を出せば噛まれて食べられちゃうけど。という、なんともならぬやるせなさ。
 この、寂しい、哀しい、やるせない、なのにホラーである、というところに、ゾンビだけが持つ独特の面白さがある、と、ぼくは考えています。
 舞台『アリスインデッドリースクールパラドックス』は、2010年に初演され、以来大阪、名古屋、北海道で再演してもらったこともある、珠玉のゾンビ舞台の再演版です。オルタナティブ、ビヨンド、とサブタイトルを変えながら、少しずつ話も変わっていっているわけで、前に見たことのある人も、初めての人も今まさに見るべき新鮮なゾンビ舞台になっております。
 派手なアクションや、吹っ飛ぶ人体、客席は血みどろ、といったグランギニョルではありません。ただひたすらに、そうなったらどうなるか、を追ったシリアスでコミカルな舞台劇です。なにしろ、主役の二人は高校生漫才師です。
 さあ、はたして今回はどんな出来事が彼女たちを待ち受けているのか? こうご期待です。

近況。

 さてさて、一月の『クォンタムドールズ』から三月の香港公演『戦国降臨インターナショナル』、五月は新作脚本『みちこのみたせかい』と北海道再演『アリスインデッドリースクールSAPPORO』そして三年ぶりの名古屋再演『チェンジングホテルNAGOYA』と、立て続けに半年を駆け抜けてまいりました。中国の仕事も一段落してしまい、なんだか抜け殻気分の七月ではございますが、なんと八月には『アリスインデッドリースクールパラドックス』が上演されます。『デッドリースクール』最新作ということで、またもや何かが起こる予感。演出は『ビヨンド』でご一緒させていただいた扇田賢さんです。そして上演時には、何か新しいお知らせができるかもしれません。そちらも合わせてお楽しみに。
 不肖麻草も40才になりまして、相変わらず水槽の水草と静かに過ごしておりますが、ホットサンドメーカーを購入してライスバーガーを楽しんだり、プラモデルを作ったりと、なかなか楽しい毎日です。
 あっ、趣味でやってる特殊メイクが、少しだけ話題になって、ニュースサイトに取り上げられたりして、久しぶりの知人から連絡が来たりなどしたことが、ちょっと楽しかったですね。
http://spotlight-media.jp/article/297842666598792831
 そんな感じですね。あとまた絵を描いたので載せておきますね。
舞台『チェンジングホテル』





映画『貞子vs伽椰子』

時空警察クロノゲイザー主題歌

時空警察シリーズの最新作が上演されておりますね。私は『ノエルサンドレ』『彷徨のエトランゼ』『1983』の共同脚本を書きました、麻草郁です。今回『クロノゲイザー』では、主題歌の歌詞を担当させていただきました。正統派ヒーローもの! という感じの前向きな歌詞です。パンフレットなどには載せられていないので、興味のあるかたはご覧ください。ちなみに本番では二番の歌詞は歌われていないので、とてもレアであります!

クロノゲイザー主題歌

 『目覚めよと呼ぶ声がする』 作詞 麻草郁

1番
思いやりと優しさだけ集めてみても
純粋な悪の前には立ち向かえない
ここから先には 覚悟を持つ者だけが
進むべき 未来の道がある

信じられぬことを信じ
わからぬことをわかるんだ
繰り返してく事象の
差分に潜む謎を
解き明かせよ!
戦う乙女 いまどこに?


君たちの未来は 勝ち取るべきものさ
背中を預けた 仲間を Bileve you
迷ったときも 前を向いて

私たちに(与えられた)
使命は(希望だけ)
戦う 時空警察
クロノゲイザー wake up your eyes

2番
果てなき闇潜り抜けた記憶の中で
凍り付いた悲しみでは焼き尽くせない
失いかけてた 勇気のかけら集めて
輝ける 希望の火をともす

たどり着けぬ空を目指し
目に見えぬ翼を広げ
繰り返してく事象の
重ね合わせの現象
収束せよ!
戦う乙女 今ここに!

*くりかえし

香港公演でございます。

 前略
 お世話になっております、脚本家の麻草郁です。
 たいへんご無沙汰しておりますが、その後おかげん如何でしょうか。私の方はさして問題もなく元気でやってます。先日受けた健康診断では「メタボのケがありますね、あと胃が荒れています」と忠告を受け、まったくもって「それ知ってた」といった感じです。
 さて、このたび私がお世話になっておりますアリスインプロジェクトさんが、初の香港公演を行うことになりました。
http://kouringirl.info/
 原作・演出のまつだ壱岱さんのサポートとして、脚本をお手伝いさせていただいております。アクションとダンス中心のセミノンバーバル舞台ということで、これでも字幕が膨大な量なものですから映像さんは大変なんですけれども、これが更にぼくの作品ともなれば演技を見るより字幕を追うほうが中心になってしまいますから、日式ガールズ演劇のプロモーション的には戦国降臨ガール、最適なのではないかと思います。果たしてどんな反応が得られるのか、今から楽しみですね。
 香港から帰ってきたら、いろいろとご報告できることもあると思います。
 それでは、お互い、健康には気を付けて夜中に多量のパスタをゆでて、オリーブオイルでいためたにんにくをどばどばかけて食べるとか、そういうのはあんまりしないようにしましょうね。しかし何で夜中にゆでるパスタはあんなにうまいんでしょうね。
 何かあればご連絡ください。
 早々