絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

 夜の廃都で、子供たち同士が二つの集団に分かれて争っている。
 ある夜、おれの所属している団のリーダーが相手方につかまり、私刑を受けた。おれたちは丘を越えて広場へ向かう、すると広場では、拷問を終えた奴らが、方々に散っていくところだった。
 広場に入り、中央のドラム缶に近づく。
 目を潰され、腕の骨を砕かれたリーダーは、ドラム缶に寄りかかって倒れていた。トレードマークの筋肉と、オレンジのオーバーオールが血と小便で汚れている。
 仲間たちは、もう助からないリーダーを見て、次々に笑い出した。鬱屈が溜まっていたのだろう。
 おれだけは、笑わなかった。
 ドラム缶に寄りかかっていたリーダーを、引っ張って寝転がす。もう抵抗する気力もないらしい、かすかに首を振った。
 まず最初に、失った左手首の先に刃物をつけた奴が進み出て、リーダーの肩に刃を沈み込ませた。
 リーダーは「あぁあぁ〜」と力ない声を漏らした。
「たすけて、たすけて」
 歯が折れ、裂けた唇から、情けない言葉が出て、そこにいた全員が失笑した。
 "手無し"は真顔に戻ると、更に深く刃を差し込んだ。
「この手は、あんたが切ったんだ」
 その言葉をきっかけに、群れはリーダーを食い尽くした。
「お前がおれの目を潰したんだ!」
「前歯を折りやがった!」
「許さねえ!」
 刃が、棍棒が、靴底が、かつて長だった少年の骨を割り、皮を剥ぎ、肉をすりつぶした。
 やがて広場には、おれだけが残った。
 目の前には、両手両足と性器を切り取られた、肉の塊が転がっている。
 おれは奴の股間のあたりを踏んでみた。何の反応もない。
「こんなんじゃ、もう何もできないな」
 夜は、明けていた。

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 目覚めて起きると、体が冷えていた。左腕が首に巻きついて痺れている。立ち上がり、フラフラと椅子に座る。
 胃液が喉の奥から染み出して、口内がすっぱくなった。
蝿の王』と『マッドマックス』が混ざったような夢だった、しかもおれはリーダーの参謀で、恋人を犯され殺された復讐として、相手方に手引きをしたらしい。見ている間は実写だったのだけど、思い出すと岩明均*1の絵柄になる。ヒストリエ読んだからだな、たぶん。
 うーん、昨日偉そうなこと書いたのでバチが当たったんだろうか。うん、確かに子供はおれが全部を操作できるほど単純じゃない、そんなこたァわかっとるわい。

*1:寄生獣』『ヒストリエ』等