絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

だらだらと豚肉を垂らす。

豚肉問題。

またBさん(30歳独身)も女性のおしゃべりの内容に不満があると断言。それは
「オンナの話はオチがない」。「例えば『今日スーパーで豚肉が超安かったの』とか
って話してくると、こっちは『それで?』と返す。でもそれだけでオチもない。
逆に『それで?』って返すことに怒られたりしますから。今はまだ結婚していないから
そういうこともたまにだけど、結婚して毎日これだとうんざりしそう」
 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/998503.html

私の妄想翻訳機にかけると「豚肉が安い」って言うのはこういうことじゃないでしょうか。
「安い食材を日夜探し節約に励んでおり、今日はそれを購入しました。私の家計の運営はうまくいっております。今回は豚肉を安く買う(安い食材を手に入れた分の支出ダウン)(安価な食品購入のリスク検討中)と言う方法を実行しました。と言ったふうに私の家事能力は大変優秀です!それに対する評価をお聞かせください!バッチコイ!」
うどんこ天気 スーパーで豚肉が安かった

 面白い。「言いたいことはあるんだけど、うまく言葉にならない」ってのはよく聞く。考えても、考えた末に出てきた言葉が短縮されて、結果的に意図がうまく伝わらないという奴。
 短縮言語か、ニュースピークか。女は管理社会を望んでいる!ではなくて、おっさん上司が政治の話ふってくるのもコレだ。バカだから単純な結論に至ったわけじゃないんだが、短縮言語に翻訳する過程でよくわからんことになってしまうような、そんな感じ。何かの場面では効率的でいいと思う。何の場面で使うのが適切なのかはわからないけれども。
 で、そういう短縮言語で行われるやりとりは、傍目には脈絡のない話をダラダラしているように見える。話題はあっちこっちに飛び、結論は出ないまま次の話になり、忘れた頃にまた前の話が出てくる。
 男だって空気読めない奴はダラダラ話す、おれはダラダラと結論のない話を書く。思春期はダラダラ話す時期だな。もっと子供になると、要約しすぎて何言ってるんだかわからんことが多い。いや、思春期だって短縮言語は使うぞ、ジャーゴンだとか、造語隠語流行語、この文章の中にだって多くの意味を含んだ単語が使われている。なら程度問題か、いや、範囲の問題だろう。「どこまで短縮するか」ではなく「短縮言語をどれだけ減らすか」ということだ。高密度情報の効率化よりも、単位時間あたりの情報交換密度を増やす、みたいな、適当な事書いてるけど。
 ダラダラ長い言葉で短い話をするべき時と、簡潔な言語でダラダラと長くやり取りすべき時がある、ってことなのかもしれない。
 要は「女が」「目的のない話が」などと文句垂れる前に短縮言語で話されてしまう自分を顧みるべきだ。つまり、奴は銃口をつきつけられて「YESかNOか」を問うてるときに「今日豚肉が」と話すかどうか、ということだ。逆を言えば「豚肉が」という短縮言語に文句のある奴は、そういう緊張感のある毎日を送ればよろしい。おれは恐ろしくていやだ。
追記

言葉は見た瞬間自動実行されるバイナリみたいなもの。
http://d.hatena.ne.jp/essa/20061201/p2経由)

おお!これこれ!
 前に怖い話が苦手な友人に「2chの怖い話で『コトリバコ』とか『ナメラスジ』ってのがあってね」と言ったら「語感だけで怖いわ!」って言ってたのを思い出した。確かに『ナメラスジ』は変な語感だけど、「2chの怖い話」がなかったら『コトリバコ』も『ナメラスジ』も怖く展開しようがない。たとえば頭に「生物学の授業で」とつけたら『コトリバコ』『ナメラスジ』も怖くはないはずだ。
 つまり「今日スーパーで」から始まる話は、本当に「今日スーパーで」から始まったのか?と問いかけることが最適な対応策。現実には言葉だけではなく、行動や態度も読み取るべき事柄としてカウントされてしまうのだけど。