絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

 僕は『ナイトオブザリビングデッド』『ゾンビ』『死霊のえじき』という三本の映画が好きで好きで好きでたまらなくて『生者の夜』というそのまんま題名の短編を撮るくらい好きで実は一番最初に撮ってまだ完成していない映画もゾンビ映画だったりするのです。
 それで、今回の上映会では、基本的に映画ギャグ(映画文法的に間違っていることをわざとやる)作品と、アクションばかりだったので、次回は『生者の夜』を長尺バージョンで撮ろう、脚本もちゃんと書こうと思ったのです。が。
 リメイクされやがったんですよ『ゾンビ』が。しかも原題の『ドーンオブザデッド』で。『28日後…』と同じで走るんですが、それはまあいい。黒沢清の『回路』に出てくるアレや『リング』の貞子みたいに、生きてない、という証拠としての「変な歩き方」なのですから、生き物に見えなきゃいいんです。
 いや、リメイク自体はいいんだ、またスクリーンで新作のゾンビものが観られるのは、素直にうれしい。
 問題は訳知り顔の半可通が『生者の夜』を観て「ドーンオブザデッドみたいですね」っておれに言ってくる可能性だ!おれは『ゾンビ』の原題だと思ってるから「そうなんですよ!あの作品の影響は偉大で何度も観てしまいました!」なんて語っているにもかかわらず、そいつは「へーこいつ公開されたばっかりでそんなにハマってんだ、へー」って思うわけでしょう?『テキサスチェーンソー』もそうですけれどもね、これからは原題じゃなくて当時の邦題で喋ろうと思いますよ僕は。『死霊のえじき』も『死霊のしたたり』も『死霊のはらわた』も大好きですよ!

たとえそれが害悪だとしても

女子高生コンクリート殺害映画化反対支援ウェブサイト
http://www.geocities.jp/namen_nakonkurieiga/index.html
 AV女優への差別表現に関してだけでも、まともに取り合うレベルの話ではないと思うのだが、配給会社他レンタル業者などは同作品の取り扱いをやめてしまった。
 僕は『コンクリート』を観ていないので何とも言えないが、たとえそれが害悪のような作品だとしても、封殺してはならない。なぜならば、トロツキーや、ウルトラセブン12話や、キリストのように、歴史から消されたものは、必ず後世に、大きな影響力を持ってその姿をよみがえらせるからだ。
『コンクリート』という作品の名は、永久に残るのだ。
 単純な正義感だけで上映出版の差し止めを願ったのなら、彼らの願いは逆の方向で実現するだろう。
 この運動が前例となって、実話を元にした暴力的なホラー映画は作られ難くなる。そしていつか暴力的なビデオが店頭から消えたとき、ネットを利用せず、情報にうとい、暴力的な若者は、あまりの観たさに、現実と虚構の区別がつかなくなり、じっさいにその行動を起こす。
 彼らがやったのは、その手助けなのである。