きみがマンガを描くときに気をつけなきゃならない事
- 線とは何かを考える。
- 輪郭に潜む一定のリズムを打破する
- 対象の構造がもたらす矛盾を発見する
- 対象の質感を記号化しない
- 対象から得た第一印象を絵に変換する
- 目に見えるものが全てだと知る
- 重力に心を囚われない
>僕が絵を描くときに気をつけている事
http://anond.hatelabo.jp/20070322065005
よくある誤解が連ねられているので、解毒したい。
マンガの話じゃねーよと言われたら、輪郭線を描いたらそれはもうマンガだよと答えよう。
1.線とは何かを考える。
>線を重ね過ぎない
線とは何か。なぜ、三次元上の物体を二次元上に変換する際、線が使われるのかを考えよう。この「線を重ねすぎない」というメソッドはおそらく「下書き」において線を重ねすぎることによって、最適な線を描きづらくなるということが前提になっている。重ねられた線の中から最適と思われる線(の萌芽)を見つけることは容易だが、それを「腕」と「指」を使って新しい紙の上に再現するのはとても難しいというわけだ。そこには精妙さを鍛える訓練が必要となる。
ならば逆に、重ねられた線はそこには存在しない最適な線を発見させる点で優れていると考えられないだろうか?
目には、そこには存在しない輪郭線を検出する能力がある。
これは有名なカニッツアの三角形を模写したものだ。ここには欠けた黒い丸と一片の欠けた三角形が三つあるだけなのに、なぜか真ん中に存在しない三角形が浮かび上がって見える。絵画とは、その能力を利用して二次元の中に三次元と似た世界を作り上げる行為だ。だから多くの絵画には明確な輪郭線がない。その能力を利用して背景を精密に描き人物の輪郭を線で描かないマンガも存在する。
もし一本の輪郭線で立体を表現するマンガ技法を手に入れたいのなら「線を重ねすぎない」のではなく「重ねすぎた線の中から最適な一本を見つけ出し、描く」という能力を高めるべきだ。なぜなら「うまい絵」ほど容易にマンネリズムへと転落するからである。
2.輪郭に潜む一定のリズムを打破する
>輪郭のリズムと流れを感じ取る
ペンとインクでマンガを描く場合、最初におぼえなければならないのは「イリ」と「ヌキ」であると教えられる。イリは線の始点、ヌキは線の終点を指す。線自体にふくらみを持たせることで、立体の回り込みや、面と角の差異を表現する技法として、劇画時代に成熟したと伝えられる。
(疲れたので以下は省略形)
3.対象の構造がもたらす矛盾を発見する
>対象の構造を把握しながら描く
マンガは、現実には存在しない矛盾した風景を容易に映し出せるふしぎな媒体だ。構造を把握し、破綻させることでマンガにしか描けない風景(物体、人物)が描けるだろう。
4.対象の質感を記号化しない
>対象の質感を感じながら描く
硬いものを柔らかく、ガサガサしたものをツルツルに。筋肉は鋼鉄に変化し、コンクリートの壁は主人公を取り囲む線のカタマリになる。
5.対象から得た第一印象を絵に変換する
>対象の観察にも充分時間をかける
現実なんて糞食らえである。
6.目に見えるものが全てだと知る
>骨格を意識する
描かれないものは存在しない。
7.重力に心を囚われない
>重心を意識する
マンガにおける重心とは、ページ内のコマ同士がもたらす重力の法則から生まれる視点の集中する場所を指す。
時間も空間も超越できるのが、マンガ表現のすごいところなのであります。
妙な規則で自分を縛り付けず、さまざまな手法を駆使して描いてほしいものです。
参照:http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20061014#p2