絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

さようなら、ありがとう。

というわけで『時空警察ヴェッカーx彷徨のエトランゼ』無事に千秋楽を迎えることができました。
多くは言いません、本当にありがとうございました。未だに本番前日であるというような夢を見ますが、もしかしたらパンフレットに書いたとおり、ぼくの同位体がエトランゼに囚われてしまったのかもしれませんね。というわけでパンフレットに寄稿させてもらった文章を転載します。

バートランド・ラッセルというかっこいいおじさんが考えた、世界5分前仮説というのがあります。もしも、あなたを含めた世界が、過去の記憶も含めて5分前に作られたら?という思考実験です。いまあなたの頭に浮かべることのできる子供時代の思い出が、どんなにリアルだったとしても「今思い出せる」ことから、それが事実として 「あった」ということは証明できない、という仮説です。「あった」ことが証明できないということは、反証もできない。つまり「なかった」と言い切ることもできない、ということです。物語も同じように、幕が開く前には何もなくて、幕が降りれば全ては消えていきます。泣いたり、笑ったり、怖かったり、楽しかっ たり。ほんの二時間しかない短い時間だけど、共に過ごした思い出は本物、というわけです。
願わくば、みなさんの心の中で、何度も何度もこの世界が繰り返されていきますように。そしていつかまた、麻宮会長に逢えますように。

また再び、一人でキーボードに向かう日々が始まります。新しい世界を作らなければいけません。だから、いつかまた、近いうちに。