人が集まると、なんかが生成されるんだ。
インディーズの雑誌、というのが世の中にはあって、みなさん手弁当を毎日作りながら爪に火をともすような覚悟でインディーズに雑誌を作っていらっしゃる。もしそうじゃなくてもお金をもらわずに作るのはすごいことなのだということをいい加減世の中の大多数は知った方がいい。で、そのひとつから先日「ドクデスって何だったのか400文字で書いて(はぁと)」という丁寧なメールを頂いたので、粛々した気持ちで書かせていただいた。もしその原稿が載って、その号が発売されたら、ここでお知らせするので、とりあえずそこに分量的に書けなかったことを書きたい。
撹拌すると沈殿するじゃないですか。
ドクデスに限らずイベントごとが好きなのは、人が集まるところに生成される、圧倒的な情報の渦が面白かったからだ。衝突、回避、渋滞、濁流、そこには卑小な人間の脳ひとつでは作り出せない混沌があるし、言葉にできない動物の秩序がある。それらの模様を必死で読み取って脳内に地図を活写する。それは穴だらけのツギハギでお世辞にも褒められたものではないけれど、新しい秩序を持った世界としてそのときの記憶と一緒に保存される。全部おぼえてる。階段やステージの横でキスしてた人たち、次の出番が来るまで体育座りでフロア占拠してた人たち、困り果て全裸になった人、楽しくて飛び跳ねた人、楽しくて楽しくて、すべて手遅れだったのに。おかげでぼくは、今も人が集まる場所が好きだ。