絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

我慢できないこともある。

Nico-AnimationProject(http://niconicoanime.xxxxxxxx.jp/
ニコニコ動画のユーザーだけでアニメを作って配信しよう、というこころみ。
こういうのはすごく応援したいし、たくさんの人間がこういうこころみを始めてほしいと思うんだけど……けど……とりあえず脚本(第三稿)の抜粋を見てほしい。

【シーン1:主人公の部屋】
ニコニコ動画を見ている主人公の携帯に、電話がかかってくる。
画面には友人の名前が。電話を取る主人公。
主人公「もしもし?」
友人「おっす、○○ー。元気してたかー?」
主人公「うん、まあ元気っちゃ元気だ。にしても久しぶりだな、何やってたんだお前?
友人「もう最近は原因不明のサーバー異常とかで色々大変でさー、参った参った」
主人公「そうか、運営の仕事も大変なんだな・・・」
友人「ホント、普通のサラリーマンになってりゃ良かったよ」
主人公「(二ワンゴは普通の会社だろうがっ!)でも自分で選んだんなら頑張れよ」
友人「お・・・・・・お前が俺を励ましてくれるなんて・・・・・・小学校以来じゃね?くーっ、泣けてきた!確かに俺はお前と違って才能溢れてるからな、普通のサラリーマンじゃダメに決まってるよなー」
主人公「・・・・・・前言撤回。そんなにイヤなら辞めちまえ、ニートにでもなっちまえ!」

第二稿、第一稿を読むとわかるが、この辺の流れは初稿から変更があまりない。いやー、本当に参った。さらに第三稿への作者(?)からのコメントがこれだ。

結局あまりカットはできてません。駄目だ・・・orz演出頼みか

 他人事ながら心配になってくる。怖くて見てないのだけど、スレッドで議論してこの脚本を書いているらしい。何を議論しているんだろう、主人公の髪の色とかだろうか。なんにせよ、この脚本をそのままアニメにするのはやめた方がいい。なぜか。動画を作って検証してみよう。

 どうだろう?このアニメは面白いだろうか?このシーンから先を見たいと思うだろうか?
 おれは思わない、いらないセリフがたくさんあって、必要なものが何もない、まるで意味のない無駄なシーンだから。
 悪いことは言わないから、もう少し根本的なところから練り直した方がいい。もちろん、企画概要にあるとおり文化祭でいいし、楽しかったという思い出が残ればそれでいいのかもしれない。だけど、これじゃどうしようもない。
 じゃあお前がやってみろと言われるのはわかっているので、やってみた。そうしろとささやくのよ、私のゴーストが。別にこれが完璧だとか言うつもりはないけど「こういうのがやりたかったんじゃないの?」という気持ちが伝わればさいわいだなあ。

#1 繁華街の路上 夜
突然のカーチェイス、暴走する一台の乗用車を数台のパトカーが追いかけている。
屋台を破壊し、消火栓をはじきとばし、ショーウィンドをぶち破りながら走る暴走車。
電柱に正面衝突し、停車する。
砕けたフロント、壊れたカーナビゲーションのモニターに「削除されました」という文字が明滅する。
繁華街の巨大モニター群から広告が消え「削除されました」に変わっていく。
#2 ニワンゴ管理部
壁面にモニターの並ぶ暗い部屋。慌てるスタッフの中で、一人冷静にモニターの前に立つ美女、黒島三十五(28)。
白衣を肩にはおり、ミニスカートから長い足が伸びる。モニターからの照り返しがメガネを青白く照らす。
スタッフA「黒島さん!来られてたんですか?」
黒島「現状は?」
スタッフA「回路は閉鎖中です」
黒島「侵入者か?それとも内部の……」
スタッフA「おそらくは、後者かと」
サイレンが鳴り、スタッフたちがざわめく。
スタッフB「第三経路突破!」
口の端をゆがめ、不敵にほほえむ黒島。
黒島「面白いじゃないか!」
デスクに拳をドン!と叩きつける。
#3 主人公の部屋
ドン!という音とともに椅子から転げ落ちる主人公、白倉充(22)。
白倉「どわあ!」
パソコンやジャンクメカの転がっている汚い部屋。部屋中のモニターに「削除されました」の文字が踊っている。
白倉が大きなレバースイッチを引くと、部屋全体の電源が落ち、モニターが消え、赤いランプがともる。
白倉「ミク!生きてるか?」
パソコンの横にある小さなモニターが明滅し、可愛い少女の声がする。
ミク「みつるさん、大丈夫ですぅ、進入は阻止しましたぁ」
肩から力を抜く白倉、ため息を漏らす。小さなモニターには荒いドットのミクがいる。
ミク「スタンドアローン入りますぅ。侵入者分析中…ウィルスじゃないみたい、なんだろうこれぇ?」
携帯電話が鳴り出す。
息をのみ、携帯電話に出る白倉。
着信画面には非通知の文字が光る。
#4 白倉と灰田の会話、交互に。
白倉「もしもし?」
灰田「おっす、久しぶり、元気?」
混乱する繁華街の路地裏で、息荒く壁によりかかっている灰田健二(22)。
白倉「灰田?お前灰田か?」
灰田「あのさー、白倉、お前に言っとこうと思って」
白倉「何だよ急に、それよりお前、システムが……」
灰田「お前みたいに普通のサラリーマンになってりゃ良かったよ、おれはもうダメだ」
携帯を持っている灰田の手は、血に濡れている。
白倉「何言ってんだ?ニワンゴは普通の会社だろうが、自分で選んだんだろ、がんばれよ」
灰田「お前がおれをはげますの、小学校以来だな、くーっ、泣ける」
壁によりかかりながら、しゃがみこむ灰田。
白倉「灰田?おい?」
電話が切れ、白倉がモニターを見ると、ミクがメールを受信している。
頬を、一筋の冷や汗が流れる。ゴクリとつばをのむ白倉。
白倉「ウソだろ、スタンドアローンだぜ?」

「ヒマだな、こんなことするくらいなら参加しろよと」いう意見もあると思うが、おれは大多数の意見を聞いて脚本を書くのが苦手なのだ。あとヒマなんじゃなくてバカなだけ。
http://fragments.g.hatena.ne.jp/Tez/20071102/p1
ああ、これだ。
 閑話休題まとめwikiには「才能を有効利用しよう」と書いてある。確かに絵、声、さまざまなひとたちがもうすでに集まってきている。才能を有効に活用したいと思って、集まっているのだろう。だが、おれにどうにも眉唾に見える。

あくまで求めるのはクオリティではなく、それぞれの力が光ること

 クオリティ、という言葉の定義が違うのかもしれないけど、金でどうにかなる部分以外は最高のクオリティを求めるべきだ。と思うよ。そうしなきゃ、絵だって声だって光りゃしない。一番大切なシナリオをおろそかにするなんて、まるで締め切りに追われたプロみたいじゃないか。もうちょっとだけ考えてみてほしい、絵コンテに進む前に、本当にそれでいいのか、と。
続き>http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20071104#p1

何で脚本なんか作る必要があるのさ。そいつらの才能はどこで発揮されてたの?ニコニコのどこに脚本の面白いインディーズ映像があった? つまんない奴がつまんないアニメの作り方を真似してる、ニコアニがつまんない理由はこれだ。

言いたいことはこれに尽きる。