絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

ここは説教パブなのだ。

 小さな食堂なんかで昼飯を食べていて、一番困るのが店員と店長のトラブルだ。やれ接客態度が悪いとか、やれ返事が小さいだとか、ごちゃごちゃごちゃごちゃうるせえ。そういうのは裏に行ってやれ、こっちはメシ食ってるんであって、店長の高邁な説教を拝聴しに来てんじゃねえや。店員一人をコントロールする器がないなら、店長なんてやるんじゃねえ。という話を前にも書いたのだが、先日もそういう店に入ってしまった。ここで私が「孤独のグルメ」世界の住人であれば店長に関節技のひとつでも決めてやるんだが、あいにく私はマンガと現実の区別がついており、そういう妄想で自分を慰めながら黙ってメシを食うだけである。
 ああ、どうにもこうにも我慢がならん。ひとさまの上に立とうなんて考える連中は皆ことごとく「おれの説教は世界一」だと思っているらしい。いや、説教の内容はどうでもよろしい、要はメシを食いに来た私の気分を害さないでほしい、ということだ。メシはメシ、説教は説教、分けて考えてほしいのである。
 そこでハタと気づいた。誰かに言及したときだけ、コメント欄が匿名のひとたちでギスギスする、という例のアレである。ああいう連中は何で蛙の面に小便をひっかけて悦に入っておるのかと思ったが、そう考えると会得がいく、ここを、普通のレストランか何かだと思っとるのである。
 残念ながら、ウチは説教パブなのだ。マスター、涙忘れる酒、作ってよ、なのだ。ちなみに腹にたまるものはカレーとパスタしか出してない、たまにまかないで素うどんが出るが、冷凍ものである。あと昔は歌声喫茶だったこともある。常連客は知っている、マスターが話し始めると止まらないことを、そして出て行こうとする客を引きとめて朝まで話をしたがることを。だからマスターに議論をふっかけるのは一見さんだけなのだ。
 もし説教がしたければ、思う存分にするといい、ここは地獄の三丁目、負け犬どもの吹き溜まり。
 そうだ、私はお前のパパなのだ。