絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

本物なのにミニチュアに見える写真と動画。

Model World
Olivo Barbieriとゆうひとの、世界の建造物をヘリからアオって撮ろうというプロジェクト。これは小さい!
そして日本でも撮っていられる方がいらっしゃる。

http://www.tokatsufilm.com/special/travelogue.html
実際に撮影してるところをTVで見たのですけど、驚くほど簡単な方法でした。カメラに詳しくないのでよくわかんないけど、「普通はこういう風に撮るわけですが、この部分をこういう風に斜めにするだけです」とかそんな感じ。目からウロコ。
http://d.hatena.ne.jp/./kowagari/20060410/1144653454
動画:http://d.hatena.ne.jp/./kowagari/20060412/1144820344

 よくわかんないと書きながら本当はわかっているのかもしれないけど、おれは本当によくわからなかったので調べてみた。

奥行きのある被写体で手前から奥までピントを合わせる場合、絞り込むだけではピントの調整が難しい場合があります。チルトアオリを使用すれば簡単に被写体全面にピントを合わせることができます
http://www.komamura.co.jp/digital/vcc_SpAc.html

 小さいものを撮るときは全面にピントを合わせるのが難しい。だから、おれたちの記憶には「小さいものを撮った写真は全面にピントが合っていない」というのがあるんだろう。つまり、全面にピントを合わせなければ、実景がミニチュアに見えるというわけだ。あと「細部が不明瞭」「色がくっきりしている」というのもあるな。模型雑誌ではよく「空気遠近法」という奴が出てくる。遠くにあるものは空気の厚み分だけ色が薄くなるので、小さい模型は彩度をおとしてリアルに見せようとかそういう手法。
 アオリ写真でも、対象の彩度が低くて、細かすぎるとミニチュアに見えない。
 ところで検索していて見つけたアオリ倶楽部というのがあって、このひとの撮った写真はかなりいい感じでミニチュアっぽい。
http://daisei.blog2.fc2.com/blog-category-14.html
 ミニチュアで作れそうだけどちょっと不可能かな……と思えるサイズとディテールがポイントなのかもしれない。自分でも撮ってみたいけど、アオリレンズって20万円とかすんのな、たけー。そして値段以上に普通の写真テクニックとか要求されそうだ、誰でも撮れるものではないみたい。
 そういやアオリで実景がミニチュアに見えるのと逆に、ミニチュアを実景っぽく見せるパンフォーカスというのがあって、これは画面全部にピントが合っている状態のことだったはず。『2001年宇宙の旅』に出てくるディスカバリー号なんかはこれで撮られているらしい。

追記

写真は「都市のウソっぽさを表現したい」というテーマで撮っているんですが、それは自分が住み続けている東京を観ていて、ウソっぽいと感じることが多かったから。
本城直季さんのインタビュー。

追記2

>記憶には「小さいものを撮った写真は全面にピントが合っていない」というのがある
 という記述が誤解を生んでいるので説明します。そもそも、そういう写真がなぜ小く見えたり大きく見えたりするかというと、じっさいに見たときと感じが似ているからです。人間の目がパンフォーカスではないので、小さいものにピントを合わせると奥や手前がぼやけて、でかいものには全部ピントが合うのです。
コメント欄で紹介されたミニチュア写真。
10枚の小さな東京
 写真をPhotshopで加工したもの。チルトシフトレンズは使っていないのでちょっと惜しい感じ。そこからリンクを辿って……
synthereal.comミニチュライズ
実写ムービーをミニチュア化しておる会社さん。メイキングが一番下にある。やっぱ後加工の場合はマスクの範囲が重要だなあ。適当とか言ってるけどかなり面倒なことをやっています。