絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

ラーメン二郎本店体験

 舞台終わりまして、通常業務なんですが、おおむね舞台装置の解体と片付け、昼になったら装置のレッド杉君にラーメン屋二郎の本店へ連れて行かれてしまいました。
 前に新宿の歌舞伎町店に行ったのが二郎初体験で、その時は「ここを二郎だと思わないでほしい、あくまでここは二郎の入り口」と言われていたので、本店と聞いて
「うまいの?」
と訊いたら
「うまいとかまずいとかじゃない、二郎なんだ」
とあふれる男言葉をもらったのでノコノコついていくことに。
 基本的にラーメンについてのウンチクというのは信用していなくて、それは食ってびっくりするラーメンに出会ったことがなかったからなんですね。そのことを話すとレッド杉君「まあ、行ったらわかるよ」とニンマリ。
 大通りの中洲にある三角のビルに二郎本店はありました。
 店の外に並んで「いつか二郎の海外支店を」「ニューヨークなんかはヘルシー嗜好だから二郎は受け入れられない」「やっぱりテキサス」「両腕広げたサイズの椀にTボーンステーキダブルで!」「2メートルくらいのテンガロンハットかぶったテキサスい奴がラーメンをがぶ飲み」「ラーメンイズマイフェイバリットドリンク」「日本に来て(小さい椀をそーっと持ち上げて)おお……ファンタスティック……アイヘイトジャップ!バット……アイラブジロー!」というくだらないショートコントを演じていたら順番が。食券を買っていざ注文。
 事前に量が多いとは聞いていたので小ブタで。ちなみにラーメンの種類は「普通」「ブタ」「ブタダブル」の大小のみ。
 席に座ると目の前が鍋、そしてオヤジの腕。ブンブン動くオヤジの腕が、ビシビシラーメンを製造していく、まるで機械のようだー、チェーン店もあって、ロイヤリティだけで食っていけるだろうに、この早さでラーメン製造。これ途中で止めたら絶対死ぬな。あと店がすごく汚くてここどこのインド?って思った。そのへんから段々と黄金体験は始まっていたのです。
おお振りメソッド」で「うまそう!うまそう!」って思うおれ。じっさい汚い店内ながら、ぼってりとつまれたチャーシューはいかにもうまそう。遠くの席に座ったレッド杉君と視線を交わすとレッド杉君「どうですすごいでしょう」の笑み。
 そこで起こった珍奇な出来事を、おれは一生忘れないだろう。
店員「やさいにんにく入れますかーっ!」
麻草「あ、ナシで」
オヤジ「はい、増しでっ!」
 一度のせた小さめのチャーシューを取り除き、野菜を乗せ、でかいチャーシューをつかんで乗せ、その上にたっぷり野菜を乗せるオヤジ。「あちゃー」って顔の店員。
店員「どうぞーっ!」
麻草「あ、う、はい」
 目の前にはラーメンのようなものがヌドーンと登場。
 食ってて思ったのはラーメンの進化について。いったいどんな淘汰圧が加わったらこの二郎ラーメンは生まれるんだろうか?!そりゃあもうオヤジの存在ひとつに決まっているんだが、まあなんと言うかラーメンを食うというよりはラーメンを体験するという感じであった。
 食い終わったあとの感想はもちろん「うまいとかまずいとかじゃない、すごい」だっという。
 信仰者がいて、中毒者がいて、のれんわけを望む者がいる。それも、全てはあのオヤジの汗、そして動き、さらには「ナシ」を「増し」ときき間違えるタイミングのよさみたいなものにあるのかもしれないなあ、と思いながら帰路についたのです。
 あと単純にオヤジが神々しかった。ピュアなラーメンマッシーンだった。だから教祖というよりは御神体そのもの、昼時に開帳されるのでみんなでおがんでラーメン飲む、みたいな。そおゆうのが大切なんだと思った。
 ああ、胃の小さいひとにはオススメできない、それだけが残念。
追記:注文のしかた。

  1. 野菜(もやしとキャベツをゆでた物)=ヤサイ
  2. 醤油のたれ(スープの素をさらに上からかけます。)塩辛くなるため、カラメと言われます。
  3. にんにく(生のにんにくのみじん切りが入ります。)=ニンニク
  4. 脂(スープに張っている脂の膜がさらに分厚くなります。)=アブラ
  5. 何もいれない場合=フツウ

http://www.aurora.dti.ne.jp/~takumafk/jiroframe.html

そうだったのか……!