絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

町山氏への質問だけど、ガマンならんので勝手に答える。
id:nagata:20040630

犠牲者の多い少ないに関わらず、僕の生活を破壊する誰かがいれば、それを破壊することはやむをえないことだろうとも思います。ただ、僕はそれはブッシュ個人だとは思わないし、また小泉個人だとも思わない。

 おれも思わないし町山氏*1もムーア氏*2も思わんのではないかな。敵はブッシュ大統領でも小泉総理でもなく、御輿担いでる連中と、その連中を支持する企業と、その企業に利権を持っている投票者だ。だけど、その投票者を叩いても、出るのは「利己心」か「無関心」だけで、深い考えがあるわけじゃない。所属する団体の都合で投票先なんぞコロコロ変わる。そんなつまらないことは誰でも知っている。
 だから、映画を作るのだ。投票者は映画を観るかもしれないが、ブッシュ大統領や小泉総理はたぶん映画を観ない。いや、友達じゃないから知らないけど。

でも僕の「読者」には、ブッシュの犠牲者はいない。

 ここ数年で乱立した情報規制系法案は、もっと別の情報の流通を規制するための布石だと思う。例の「健全」でなければならない表現物しか流通できない規制法が通れば、国が健全でないと認めた表現物−青少年の育成を阻害するもの=正しくないもの−の流通が全て彼らの都合でストップできる。
 ブッシュさん個人は、東の端っこで、自分に都合のいい法案が通ることを、知らんのかもしれん。知っているかもしれん。だからid:nagata氏は、自分のことを「ブッシュの犠牲者」とは思えないのだろう。
 だが、数年後、当たり前のように得られていた情報が、手に入らなくなったとき、id:nagata氏の言う「虚無主義的な達観を気取りながら複雑な現在を生きつつも、それだけに飽き足らない「何か」を求めているような」生活は、送れなくなる。
 ムーア氏や町山氏が、権力者をバカにしたかどで逮捕され、言葉を発する権利を奪われるとき、id:nagata氏は何を思うのだろうか。それでも「町山さんのスタンスではそういった「誰か」は切り捨てられてしまうように思われました」と言うのだろうか。
 ほんとうにid:nagata氏を切り捨てるのは、誰だ。ブッシュが日記にコメントするか?
 おれたちは、おれたちの所属する団体−表現者という職業−の都合で投票先を決める。だがそれは、表現者ではないひとにとっても、決して損ではない選択のはずだ。

 とか言いながら投票日に限って夕方まで寝すごしたりする。人生ってままならないですね。がんばるぞ!(明日から)

追記
「この世に存在する力の中で最高のもの。それが『感動』なのだ。」(島本和彦『ガレキの翔』)
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