『時かけ』が素晴らしすぎた件について。
属性変化
何がすごかったって、千昭と真琴のことが大好きになってしまった、ってこと。おれ、バカ属性ないんですよ、基本的に理系メガネ萌えで、バカキャラって話を転がすための道具にしか見えない、失敗するためにいる、みたいな。
もちろん『時かけ』だって真琴がバカだから話が転がっていくんだけど、その絶妙さったらなかった。気がついたらグイグイひきこまれて無駄なこと考えるヒマがない。
具体的な感想はkotokoさんとかぶってて、千昭と功介の、特に功介の登場シーンには会場の隅っこの席三つあたりの気温が2度上昇するのがわかったほど。そんなわけで「バカ主人公はなー」なんて思っていたんだけど、これが驚きの超絶変化、いつのまにか功介がかっこいいお兄ちゃんになって、千昭と真琴のバカさ加減がかわいい!となってしまった。
真琴のバカっぷりも、タイムリープの使い道も、全部物語的には意味があって、うれしい。
脳内データベース利用の巧みさ
特徴的だったのは芳山和子の使い方。絶対にあの芳山和子だとは見せず、しかし隅々にあの芳山和子である証拠をちりばめるやり口にはすっかり倒された。単なる青春の思い出を語っているのか、それとも……と思わせるわけだ。そして美術、物語的にはいろんなところで語られている通り骨子を原作に得てはいるが、まったくのオリジナルと言ってもいい。その分か美術関係で大林版を思わせる場面がいくつかあって、にやにやしてしまう。もちろんそれは都内らしき場所を舞台にしていながら、どこか別の風景を思い出させる役に立っている。坂の多さとか、建物の古さとか。
そして中盤の盛り上がりから後半に至るまでの急展開の無駄のなさ。最高。