絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

人生がゾンビなんです。

 舞台『アリスインデッドリースクールパラドックス』が8月上演決定でございます。こちらは「ゾンビと女子高生、屋上からの脱出」という作品になっておりますので、私もゾンビの人として周知を徹底していきたい所存です。ゾンビの歴史に詳しい人、とかゾンビ映画のことなら何でも知ってる人、なんて恐れ多いものじゃないですよ。ただの「ゾンビの人」です。先日はゾンビメイクのテストをしている際にツイートしたらニュースサイトに取り上げてもらえるほどには話題になったみたいです。
発端のツイート
麻草郁 on Twitter: "電車でいきなり知らない人に噛まれた、めっちゃ痛い、血はあんまり出てないけど、すごく痛む。明日病院に行こうと思う… "
まとめてくれたニュースサイト
http://spotlight-media.jp/article/297842666598792831
 ときどきリプやDMで「コツを教えてください」とか聞かれるんですが、こんなの見て真似するほかないです。細い面相筆とスポンジを使ったら誰でもやれます。だからメイキングとかもアップできない、地味すぎて。かなしい。でもまあ一万とかRTされると、いろんな人に発見されて面白いですね、もっと10万とか100万とか行くにはどうしたらいいんですかね、ゾンビじゃダメかしら。
 こう毎日ゾンビゾンビと言っていると、何がそんなに面白いんだ、と、問われることもあるわけです。ゾンビの何が面白いのか。グロいところか、とか。そりゃまあグロいところは面白いですし、ちょっと脳が溶けちゃってアホになってるところも好きなんですけど、ゾンビの何がいいって、やたらと寂しいところですね。圧倒的に寂しい。ほかのホラーモンスターがテンション高くキャラクター化される中、ゾンビはその他大勢ですからね。まったくキャラが立ってない。映画内でキャラの立っているゾンビ山ほどいますが、それは映画の垣根を超えて他作品に引用されるほどのものではない。あくまで作品内でのキャラ立ちです。その代わりゾンビは誰もがなれる、パレードだってできる。ドラキュラパレードとか、意味がわかりませんし、狼男パレードなんてほとんど暴動です。
 閑話休題。その寂しさの起因は何によるものかといえば、それこそ「長いお別れ」であると言えるのではないでしょうか。ゾンビになった、なってしまった彼とは、もはや前と同じようには過ごせない。だってもう死んでしまっているから。でも、彼は目の前にいて、動いていて、何か言葉も通じそうな気がする……気がするだけで、手を出せば噛まれて食べられちゃうけど。という、なんともならぬやるせなさ。
 この、寂しい、哀しい、やるせない、なのにホラーである、というところに、ゾンビだけが持つ独特の面白さがある、と、ぼくは考えています。
 舞台『アリスインデッドリースクールパラドックス』は、2010年に初演され、以来大阪、名古屋、北海道で再演してもらったこともある、珠玉のゾンビ舞台の再演版です。オルタナティブ、ビヨンド、とサブタイトルを変えながら、少しずつ話も変わっていっているわけで、前に見たことのある人も、初めての人も今まさに見るべき新鮮なゾンビ舞台になっております。
 派手なアクションや、吹っ飛ぶ人体、客席は血みどろ、といったグランギニョルではありません。ただひたすらに、そうなったらどうなるか、を追ったシリアスでコミカルな舞台劇です。なにしろ、主役の二人は高校生漫才師です。
 さあ、はたして今回はどんな出来事が彼女たちを待ち受けているのか? こうご期待です。