絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

舞台『LOVE ME DOLL』が上演されています。

共同脚本として参加した舞台『LOVE ME DOLL』が上演されています。銀座のみゆき館劇場という、今年いっぱいでなくなってしまう老舗の劇場です。とてもまっすぐな恋と冒険の物語です。舞台は昭和4年の大連、物語は遺伝子操作で作られたサル人間と喋り動く人形の、別れと出会いから始まります。人間を演奏することのできる「演奏家」やすべてを言葉で記憶する「語り部」、そして大きな狼に乗った馬賊と死にそびれた大陸浪人。生と死が、荒野に立った塔を目指して交錯します。彼らを演じるのはうら若き少女たちです。その力と胆力は並大抵のものではありません。
以下に、パンフレットに寄稿した文章を転載します。

はたしてこの世界は本物だろうか、誰かの作り出した偽物ではないだろうか? むしろ本物の世界とは、過去に置き去りにされた幻影ではないだろうか。そのような妄執にとらわれていてはきっと、現代という電気仕掛けの汽車に乗り遅れてしまうだろう。過去はいつまでも私たちの足元をぬかるませる。強迫観念と怠惰な日常のはざまで思い描く過去は、常に甘くて苦い。
かつて、命の価値が軽かった時代があり、いまはそうではないという。ほんとうだろうか。誰かの死が人の心を押しつぶすのは、その誰かが生きているあなたの心の一部を担っていたからだ。ならば、その一部が生きている限り、魂は死なない。願わくば、舞台の上で生きる万物に、幸多きことを。

是非とも彼らの生き様を目撃してください。詳細、チケットのお求めはこちらまで>http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=68262