絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

舞台『サムライカウボーイ』のこと

パンフレット挨拶

 良いやつ、悪いやつ、奇妙なやつがいる。この荒れ果てた世界を生き抜くためには、そいつらと仲良くしていかなきゃならない。なぜならそいつらは、みんな、お前の中にもいるからだ。親が子を愛しながら憎むように、子が親を敬いながら乗り越えなければいけないように、お前は自分の中にいる連中と、うまくやって行かなきゃいけない。
 自分の中にいる連中を、まるでいないみたいに扱ったりすれば、お前は聖人君子のように振る舞って、ちっぽけなプライドを保っていられるだろう。自分の外に出た連中の、よく似た誰かの間抜けさを嘲笑っていれば、お前は唯一無二の正しい人間でいられるだろう。
 そうだ、ジェイクはいつでも、狙っている。お前が大切に守ってる薄っぺらなプライドに忍び寄って、甘い言葉を投げかける。そして、お前の中に棲みついて、いつしかお前を食い尽くすだろう。
 お前は正しい人間じゃない、間違いを犯したこともある、今だって自分を守るのに精一杯だ。
 それでも、お前はこの荒野で、ほこりまみれでも、生きて行かなきゃならない。
 死んでいった連中の代わりに、生きるんだ。
 
 本日はご観劇、ありがとうございました。憧れの西部開拓時代から、ぼくたちの生きる現代へ。サムライカウボーイの活躍が、皆様の明日への活力へとなりますように。素晴らしい出演者、スタッフ、そして何よりもグレイトフルなお客様に囲まれた本作の誕生を、今まで生きてきた全ての人たちへ、感謝します。

作品について

 2013年の年末に上演された舞台『サムライカウボーイ』。この作品は、200年前のアメリカからタイムスリップして現代にやって来たサムライカウボーイが、悪党ジェイクから酒場を守るために戦い、踊る物語です。プロデューサーである宮本晃行くんのオリジナル曲『踊るカウボーイ』を原案にした、なかなかに面白い作品となっております。ジェイクというのは、転生を繰り返しながら世界支配をたくらむ悪党。開拓時代の西部でジェイクに痛い目に遭わされた腹いせに、タイムスリップの罠を仕掛けたんですな。
公式サイト http://www.actpro-boys.com/stage-samurai_cowboy.html
 ワンシチュエーションで見せる歌あり踊りありの正統派?コメディ。『チェンジングホテル』以来の挑戦でしたが、なかなか評判もよくて本当にほっとしました。DVDも発売されるのかな? ぜひとも観てほしい作品であります。
 

そして……

 プロデューサーの宮本君というのは不思議な人で、プロデューサーのくせに、いつもゲストとして出演するのです。前作の『応』で神様をやったのが大変良かったらしく『サムライカウボーイ』では出て来るだけで笑いの取れる役になっておりました。出落ちと言うか、なんですかね、雰囲気?
 そんな宮本君とまたもやタッグを組んで、新作を上演します。
『桃太郎外伝〜竜宮城大決戦〜』
公式サイト http://momotarou-gaiden.com/ryugujyou_index.html
3月12日から16日、築地ブディストホールにて。今回ミュージカル成分多めで、稽古場は悲鳴があがってるそうですが、その分、より楽しい作品に仕上がってるはずです。ぼくも仕上がりを楽しみしています、ぜひみなさんも『桃太郎外伝』の完結編をご覧になってください!
宮本君の役はポセイドン・ジュニアです! お楽しみに!