絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

ほんとうに恐ろしいということ。

映画『ミスト』の感想

人間はもう終わりだ。

 劇場を出て、ロビーで一服していると、喫煙所にいる連中はみなうつむいて、どこか遠くを見ていた。隣にいる男が、おれに話しかけたそうにしていたが、うつむいてやめてしまった。女がふらりと便所へ行った、男は煙草に火をつけながらその背を見送った。終わっていなかった、何も終わってはいなかった。全ては地続きで、あれはまったくそのまま現実だった。いろんなことが頭に浮かんだ、涙が浮かんでは消えた。ふらふらと家に帰り、ふと気になってある映画サイトの感想を読んだ。
 それは、何ひとつ受け入れることのないまま、自分の安心できる結論を導き出した感想だった。あの映画を観ても何も変わらないやつがいる。拝啓ジム・ジョーンズ、あなたが死んでからも世界は善意で満ちています。心底うんざりしながら、それでも絶望だけはすまいと思った。
 霧はしのびよる、どこにでも。