絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

何でこんなことになったんだ。

人生の中にはたぶん誰しも印象に残るセックスがあって、そこに到る成り行きの不思議や感情の移ろいは、とても神秘的で、非日常の高揚感を伴うものなのに、同時に誰にでもあり得るありきたりな人間の営みの、ちょっとした恵みの日に過ぎないことが、とても奇妙に思えます。
http://d.hatena.ne.jp/anutpanna/20080305#p1

 連想するのもおこがましいのだけど、八重子さんのこの文章を読んで、三・四年くらい前に撮った即興映画を思い出した。その場で役者に口立てで台詞と動きを与え、アングルを決め、いきなり撮る。基本的にリテイクはなし。というか今まで公開しているのも全部即興なんだが。これは「めいろがいっぱい」というタイトルで、上映会などに何度か出したことがあるやつ。

 おれの撮ったものの中で、唯一セックスを描こうとした(そして失敗した)ものだ。以前は言い訳のような気がして「即興だ」と言うことにためらいがあったけど、いまは逆に「即興です、これが素です」と言いたい。たぶんこのときはセックスがしたかったのだろう(そして失敗したのだろう)。
 もしいまおれが、即興で撮ったなら、躊躇なくセックスを描くだろう、血のりを遠慮なくぶちまけるだろう。でもそれは、また別の何かを覆い隠しているだけなのかもしれない。しれないったら。