素人がアニメを作るために必要なのは「計画する」ことじゃなくて「作る」こと。
Nico-AnimationProject（http://niconicoanime.xxxxxxxx.jp/）
ニコニコ動画のユーザーだけでアニメを作って配信しよう、というこころみ。
についての話、第二回。第一回はこちら＞http://d.hatena.ne.jp/screammachine/20071102#p2
前回は暴走してしまったので、今回は落ち着いて、同じ問題について違うアプローチをこころみよう。
匿名の素人集団は、面白いアニメを作れるのか？
メインタイトルで全部を説明してしまった気がするけど、作れる、という前提で話を進めたい。
まずは匿名の集団が持つ特性について。人間というものは、不安を共有することで集団を形成することができる。逆に言えば「集団を形成するには不安要素を作ればいい」という話でもある。カリスマに必要なのは「このひとに頼ればなんとかなる」という安心感だが、その安心感を生むことのできないカリスマでも、常に不安な状態を保っていれば自然と人間は集まってくる、ということだ。国内の経済状態が下降気味だからいっちょ戦争やろうぜ、とか、そういうの。
善意でも悪意でも、人は不安に操られる。犬の里親チェーンメールとか「切腹コール」などが良い例だろう。
じゃあ何でニコアニは全然前に進まないのか。そりゃ不安が足りないからである。
やっちゃったZE！
人間は前に進む生き物だ。それはなぜか、目が前に付いているからだ。というのは進化論ジョークだが、真面目な話をすると「唯我論」にいきつく。まあそこまで行かなくても「人間が生活できるこの地球ができたのは奇跡」といった人間中心の思考は誰もが共感することだろう。問題は「地球ができたのは奇跡に近い低い確率」ということと「お前がいまここにいること」は、あまり関係がないということだ。
失敗を繰り返して人は大人になるものだとか、安い歌謡曲みたいな言葉で申し訳ないが、真実である。トライアンドエラーを繰り返さなければ、おれたちの脳はうまく作動してくれない。その辺のハードルを越えたあとで、才能とか身体能力の差に気づいて愕然としたりする。
ニコアニのスレッドを見て強く感じたのは、エラーの修正が主な作業になっている。ということだ。それに比べてトライの少ないこと。前に進まないのも当然だろう。じゃあどうするか？前に進むには？不安の共有だ！一心不乱に不安を共有しよう！飯を食うのはなぜだ？食わないと死ぬからだ！
「いや、別にアニメ作らなくても死なないだろ」はいＯＫ、じゃ、終了で。
諦めたので、そこで試合終了です。
でも何となく終わるのは嫌だなあ、何で終わっちゃうのかなあ、と思ったなら、原点に戻って考えよう。そもそもニコアニの目標は何だっけ？「才能を有効利用しよう」でしょ？だったら才能だけを有効活用しようよ。ほかはいらない、全部捨てちゃえ！才能って何？絵が描けるひとがいるんでしょ、音楽作れるひともいる、編曲も、演奏も、声だっているし、映像の編集ならＭＡＤ職人に任せとけ！
だったら何で脚本なんか作る必要があるのさ。そいつらの才能はどこで発揮されてたの？ニコニコのどこに脚本の面白いインディーズ映像があった？ つまんない奴がつまんないアニメの作り方を真似してる、ニコアニがつまんない理由はこれだ。テレビアニメの制作体制なんて、参考になるわけないじゃん！ツギハギのデタラメのやっつけで、現場の人間が過労死したって労災も出ないんだ！（いや最近は出るのかな）
聖なる場所なんてどこにもなかった。
- 見たいシーンやカットを投票で決めて、描ける奴から描きたい動画を描いていく。
- 当然動画にあわせたセリフなんかも投票で決める。ここでカットの順番を決めてもいいな。
- ジャンルの方向性が決まったら、タイトル、音楽、声優、ロゴ、投票で決めてしまえ！
- アップされた動画や背景に色をつけたり、描き直したり、中割りしたり、新しく全部描いたり。これも投票でＯＫテイクを決める。
- 投票後、動画は全部コマ単位でアップ。編集者は音楽とセリフを入れて予告編を制作。
ほい、全部素人が作ったオリジナルアニメのパイロットフィルム完成。
脚本や設定はここから作り出せばいい、パイロットが本編とちょっと違うのはよくあること。むしろ、ここから面白い話を作れないようじゃ、光るための才能なんてないだろう。はっきり書こう、いまニコアニにいる脚本設定まわりの連中は、寄生虫みたいなもんだ。乱暴だが、こいつらがいなくても、職人と観客だけでとりあえずアニメは作れる。
確かに設定や脚本があれば、今自分が何を作ってるのかわかって安心だろう。でも、安心は奇跡を生まない、せっぱ詰まった意味不明の欲望だけが、誰も見たことのないものを作り出す力を生むんだ。
