絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

ブレストしてみようのコーナー、もしくは「○○を△△するための10の方法」

ピッチャーかまえました。

 さて、この世のどれくらいの人間が「大リーグで活躍する日本人選手」を見て「日本人がんばってる」って思ってるんですかね。あんた思ってる?へえ、すごいねえ。わたしゃがんばってるのはその選手本人であって「日本人」ではないと思うけどねえ。

図(予定)
集団「日本人」に属している人間A
集団「日本人」に属している人間B
大リーグで活躍する人間Bの得た利益総量
集団「日本人」に供される利益総量
人間Aの得た利益と、実際に感じる利益

 で、そんな理屈がわかってもやっぱり同じ大集団に属していると、それだけで利益の共有が起こっているかのように思えてしまうわけだ。社会性動物だから、思えないのはむしろ欠陥だね、個人の得た利益を集団に還付して、っつうとなんか共産主義みたいだけど、対象は実態のない「感情」だし、エネルギー自体外部から供給してるから、共産主義とはちと違う。
 集団で得た利益を考えると、個人の利益が少なくてもいいや、ってのはつまり、社畜だよね。この感情が成り立つには「どこからどこまでが、己の属している集団か」という境界をよく知らなきゃいけない。群淘汰にこだわるひとってのは、なんか変なところに境界を作ろうとすることが多いような気がするなあ。余談だけど。
 確実にわかってるのは、人間は他の人間が「得をした、損をしなかった」という話があったときに「属する集団」とは関係があってほしいけど「自分の利益」と無関係であればあるほど喜ぶってこと。たとえばタコが瓶から出るのよりも、引田天功が爆発するジェットコースターから脱出する方がうれしいでしょう。でも引田天功と自分の生活圏には、何の関係もない。ところがタコと比べると、引田天功は人間だし日本人だし日本語を喋ることからも同じ集団に属している可能性が高い。
 え?タコより天功なのは、単に脱出の難度が高いから?そんなのタコに聞いてみなきゃわからんでしょう、勝手に決めつけて楽だとか言っちゃいかんよ。タコにだってタコなりの苦労とかあるんだから。
 や、ま、ともあれ、人間は利益のシェアリングが大好き!ってことがわかったね。だから、世の中にはそれ系の商品があふれている。何かの商品を作る上で、利益がシェアされていることを感じさせるのが、とりあえず第一目標ってことでよろしいか。

振りかぶって第一球!

 なるほど確かにはてなブックマークでも、男女の問題、性的な話、コンプレックス刺激系、という「何の集団についての話か」が明確にわかる記事ほど上位にある。そのほかに目立つのはティップス系だが、これはあからさまに「利益」がタイトルから想像できるから、だろう。「○○を△△するための10の方法」とでも書いておけば、うかつな誰かが本文を読みもしないでブクマしてくれるに違いない。
 さて、そんなことはさんざん誰かが書いていたことだ。知りたいのはそれをどう商品に生かすか、なんだ!とまあお怒りの方もいるだろう。まあそう慌てなさんな、勘のいい奴はわたしが何を言おうとしているのか、うすうす感づいているはずだ。
 人間は利益を共有したい、でもその欲望だけじゃ単なる奪い合いになってしまう。腹減った、お前殺す、おれ食べる、ばりばりばり、腹いっぱい、誰もいない。
 そう、人間は利益を共有したいだけじゃない、共有させたいんだ。自分の気づいたことを他の誰かに共有して欲しい、自分の知った便利なやり方を、他の誰かにも教えてあげたい。自分の属する集団で共有したい!はてなWikipediaもそうだし、YouTubeニコニコ動画だってそうだ。人間は出来る限りのものを共有したい、言葉や金銭の概念がうまれたのだって、その辺が原因だとわたしは思ってる。だって情報は低コストだもんな、光の速さだって超えられるし。
 ところが、そうも言ってられなくなった、情報は密度を増して、生産コストは馬鹿みたいに跳ね上がった。ちょっと前までは「タダで共有できる情報はクズばかり、有料の情報ならクオリティを高くできる」なんて夢みたいなこと言ってたけど、今じゃタダだろうが金を払おうがクズは一定量発生する。何でか?コストが高いからだ。ああ書き直そう、情報があふれかえったら、みんな共有したい情報のハードルが馬鹿高くなってしまった、ってことだ。
「そんなことない、クズみたいなもんにみんな金を払ってる!高い評価を得てる!」って君は言うだろう。
 さて、そこがこの問題の面白いところだ。確かに君からは、コストのかかっていない低レベルなものが、ずいぶんと多く共有されいているように見えるのかもしれない。そしてそれは見せかけの利益を共有させて、実際の利益をバカスカ生んでるように見えるのかも。ねたましい話だね、こっちは毎日ヒイヒイ言って働いてるのに、あいつら楽して儲けてやがる!ってわけだ。
 彼らがほんとうに楽をしているのかどうかは、タコのときと同じでよくわからない。ただわかるのは、情報の消費コストはずいぶんと低いだろう、ということだ。さあ問題、良いモノを作るのにお金をかけてはいけません、どうする?

続きはWEBで。

 答えは簡単、ハードルの種類を変える。お金をかけないことが、良いモノの条件なら、それをすればいいんだ。
 そもそも君はこの文章を難なく読んでブクマコメントで「それ違うんじゃないの」なんて軽々しく書いちゃうくらいだから、小学生レベルの国語はできるんだろう。さあ思い出してほしい、同じクラスのお友達、一人残らず思い出して……君の考えていることや、喋っている言葉を理解できる相手、クラスに40人いたとして、何人いた?全員?すごいね!独裁者になることをおすすめします。よくて5人、少なくて2人、悪けりゃ0人ってとこだ、そうだろう? 
 頭がいいとか悪いとかそういう話じゃない、誰もが理解を共有している言葉というのは、わたしたちが思うよりもずーっと少ないということだ。現に君は低コストのクズが高い利益を生んでいることに反感を持っていたが、それが低コストだから評価を受けている、ということには思い至っていなかった(知ってりゃここまで読んでないだろ)。頭の善し悪しなんて関係ない、人間は誰でも大リーグで日本人が活躍したら、なんとなくうれしいような気がするもんなんだ。その程度の話だ。
 というわけで、この情報で何かの利益が生めそうだな、と思ったひとは遠慮なくはてなポイントをわたしにくれてもいいんだぞ。
(という非常に低コストなオチで終わり)