絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

大人ファミレス相談室、映像と舞台の違いなのかどうかも曖昧

 ある舞台演出家と、ある役者の会話。
演出家「演出していて、ときどき意味のわかりづらい指示を出すことがあるんだけど、そんなとき『それはどういう意味があるんですか?どうしてそんなことさせるんですか?』と聞いてくる役者には『お前がそういうつまらない質問をしなくなるようにだよ〜』と答えるようにしているんだ。これはいじめだろうか
 役者「いじめじゃないけど、その質問をした奴は、それをいじめだと思うだろうな」
演出家「でも、演じるというのは、意識の先にあるものを掴み取る行為だろう、そのためには意味なんて役者が理解する必要ない、むしろ理解しようとするその努力が無駄」
 役者「いや、君がやってるの前衛劇じゃないし
演出家「ジャンルは関係ないよ、どんな芝居だろうと意味を質問するような奴は役者向いてない、日常生活送ってんじゃないんだからさ、そりゃコンビニのバイトで突然店長から『レジで合計出すときには必ず踊って下さい』とか『ありがとうございますは田村正和お願いします』とか言われたら『何で?』って聞いていいと思うけど、芝居だぜ?しかも稽古だぜ?本番じゃ結局マトモな芝居やるんだ、それなのに……」
 役者「愚痴ならそう先に言ってよ」
演出家「いや、愚痴じゃなくて、相談しようと思って」
 役者「何の相談だっけ?」
演出家「えーと、つまり、その……この前稽古でね、ある役者が…」
 役者「三つの単語で、簡潔に
演出家「……役者に、芝居を、させるには?……」
 役者「黙れ」
演出家「え?」
 役者「黙れ、って言えばいいんだよ。お前は黙ってろ、バカなんだから、って。演出家としてさ、自分で全てをコントロールしたいんでしょ、だったら役者の質問なんて全部無視でいいじゃない。結果的にお客さんに見せられるものができてればいいんだからさ。でも、役者に嫌われたくないとか、理解して演じてほしいとか思うなら、どんな質問されても根気良く説明するしかないんじゃないかな」
演出家「説明 or DIE?」
 役者「説明オアダイ。いやべつに死ななくてもいいけど」
演出家「役者としてはどうなの?どっちの方がいいの?」
 役者「えっ?……いやあ、どっちでも…出させてもらえるなら…」
演出家「うっわーつまんねー!」
 役者「最悪!」
とくにオチはない。安西先生…!! 芝居がしたいです……