猫は猫を殺すこともある。
要約：猫を殺してもいいが、殺さなくてもいい。ナチを例えに出すのはよくない。あとペットは全部奇形、かわいい。
バンドー・ザ・キャットキラーこと、直木賞作家で子猫殺しの坂東眞砂子さん（４８）が怒られたのにびっくりして真意を説明にかかったわけですが。まあその言わんとすることは多くのひとが知っていたわけで、次に何を言うかは注目の的でした（おもにおれの）。ところがこれだ。
もうひとつ、避妊手術には、高等な生物が、下等な生物の性を管理するという考え方がある。ナチスドイツは「同性愛者は劣っている」とみなして断種手術を行った。日本でもかつてハンセン病患者がその対象だった。
他者による断種、不妊手術の強制を当然とみなす態度は、人による人への断種、不妊手術へと通じる。ペットに避妊手術を施して「これこそ正義」と、晴れ晴れした顔をしている人に私は疑問を呈する。
http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__2478623/detail
ああああー、ああああああー、やっちゃった。
何が「あああ」かはあとで書くとして、先におれの意見を述べておくと「猫殺しオーケー、ただし殺されることも視野に入れておくこと」となる。どういうことか。
バンドー・ザ・キャットキラーはこう書いている。
飼い猫がいるからこそ、自分の中にある「愛情の泉」を枯渇させずに済んでいる。だから私が猫を飼うのは、まったく自分勝手な傲慢（ごうまん）さからだ。
さらに、私は猫を通して自分を見ている。猫を愛撫（あいぶ）するのは、自分を愛撫すること。だから生まれたばかりの子猫を殺す時、私は自分も殺している。それはつらくてたまらない。
そう！その通り！誰にとってもその通り！猫が殺されるとき、猫好きは自分も殺されているのだ！自傷による自己確立は結構だが、バンドーが正気ではいられないように、世の中の猫好きだって自分を殺されては正気ではいられないのである。
傷ついたら怒るのは、普通のことだ。
自らに向ける慰撫の想像力を、他者へ向けられなかったバンドー。
衝撃を与えようとして、その反響の大きさにびびっちゃったバンドー。
エッセーは、タヒチでも誤解されて伝わっている。ポリネシア政府が告発する姿勢を見せているが、虐待にあたるか精査してほしい。事実関係を知らないままの告発なら、言論弾圧になる。
モラルに異論を唱えながら、結局「正しさ」のくびきから逃れられなかったバンドー。
バンドーは果たして睾丸癌患者の互助会に出向いて「金玉がないなら死んだほうがマシだと思う」と言っただろうか？人間には言えないことでも、猫になら言えるのだろうか？猫は何かの代替物なのだろうか？
猫は猫を殺すこともある、人間はいろいろなかたちで猫を殺すことができる。
ところがバンドーは猫は殺すが人間は殺さないらしい、これはすごい、猫差別ではないか。
話を戻そう、なぜ今回の意見におれが興奮しているのか。
もうひとつ、避妊手術には、高等な生物が、下等な生物の性を管理するという考え方がある。ナチスドイツは「同性愛者は劣っている」とみなして断種手術を行った。
出た！ナチスドイツのたとえ出た！
だいたいロクにモノを考えない奴ほど直接行動に出て、怒られると言い訳としてナチスドイツのたとえを出すのである。おれはいっぱい見てきた、でもそいつらがナチスドイツをいい例えで出したのを見たことがない。これはつまり、悪いものと一般化されているものを出して、悪いですよねと同意を求めているわけである。
これ、作家のするべきことだろうか。作家ってのはもっと常識を疑ったりするものじゃないのか。
猫を殺すのと、ナチスの例えが、おれにはどうもつながらないのである。
しかも、下等な生物の性を管理することの悪を例えながら、生はやっぱり管理しちゃっているのだ。こうなってくると、猫を殺すという話すら、あやしく見えてくる。本当に殺しているのだろうか、やっぱり崖の下にはフワフワが……というのはないとしても、あんまり考えてやったことには思えないのだ。殺したあとで後悔しながら言い訳しているように見えるのだ。
結局、バンドーはやらなくていいことをわざわざやって、怒られてびっくりしたのじゃないか。
おれは小さい犬とか猫とかそういう生き物はフワフワしてて可愛いので妖精みたいなもんだと思っていてそれはつまり妖精というのは人間が作り出した奇形の生き物なわけである。もう何を言い訳しようとあれは奇形なのだ、自然の状態では長く生きられないのだ。人間がそれを作ったのである。その罪も、後悔も、愛も、何もかものみこんでともに生きるのだ。そういうことをペット飼ってる連中は考えているはずだ、いや、たぶん、わかんないけど。
そこで、猫は殺すけど人間は殺しちゃダメ！みたいな意見を読むと、おれは「あああああ」って思うけど君はどうかな？
