絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

夜中に目覚めるレベルの。

 幕が上がったと同時に照明がメチャクチャ、音響も鳴らず客席がざわつきはじめる。まわりを見ると他の役者たちも戸惑っているようだ。ふと見ると客席の雛壇が消えて、客の姿がない。あわてて客席に向かうと、壁も取り去られて地下の駐車場のようになっている。後を振り向くと舞台装置も壁もない、ガランとしたコンクリートの天井と床、そして無数の柱。驚異的な客の入らなさに、公演を打ち切られたらしい。地上に出て、青と赤の入り混じる夕焼けの空を見ながら、頬に当たる肌寒い風に「これは夢じゃないなあ」と思う。