絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

差別の本質?問題のすり替えテクについて。

音極道茶室: 『ホテルルワンダ』エントリーの真意について(補足)
http://www.virtual-pop.com/tearoom/archives/000139.html
を読んだ方からの、ツッコミを紹介しつつ、ふしぎテクニックの解説です。

つまり、差別とはこういうもののことを言うらしい。
* 他人のことを自分よりも「愚か」だと決め付け、その愚かさを攻撃(あるいは、教育)する行為
* あるいは、その背後にある優越感や侮蔑心
え!?それって、「差別」なんですか?
(中略)
優越心とか侮辱心とかって、一見、差別感情に似ているかもしれないけど、虐殺を引き起こすほどの憎悪を生むのかな。社会全体で乗り越えなければいけない課題なのかな?この辺のつながりが良くわからないです。
id:hiro_co_yn:20060227:1141018141(id:kanose:20060227:uneasinessより)

 優越感や侮蔑心というものは、差別の下位概念です。それが発生するのは、じっさいには優れておらず、侮蔑する根拠がない場合です。じっさいに優れているときは優越度を示す必要がありません。だから引用先には

その中で、自分より明らかに「愚かな」人間を見つけて「攻撃」する時、そこには「自分はここまでバカじゃない」という優越感と、その人間に対する侮蔑心が必ずあるはずです。
http://www.virtual-pop.com/tearoom/archives/000139.html

 と書いてあります。その中に、ね。そんでこの「必ずあるはずです」という根拠のない決め付けこそが、優越感というものの正体です。
ふしぎテクニック:ひきずりおろし
 「ひきずりおろし」と言うふしぎテクニックがあります。問題を一般論に還元し、その正体を隠す技のことです。この問題の記事は、差別の下位概念である「優越感」「侮蔑心」を差別と同列にすることで「そんなに騒ぐことかな」と批判しているわけです。
 ただし「ひきずりおろし」はテクニックとしては基本なんですが、普通は罵声を浴びせた当人が「おれはそんなつもりで書いたんじゃない」と言い訳するときに使うものなんですね。ですから、あまり他人の議論を貶めるのに使っていると、使った本人の話の価値も下がり、しまいには誰も聞いてくれなくなるので気をつけましょう。
 ちなみに憎悪がなくても虐殺は起こるというのが、恐ろしさの本質です。
 殺さなければ殺すという状況になったときに、殺さずにいられるかどうか。その問いかけをできるようにしましょう、そして社会状況が殺す方向へ向かわないように努力しましょうというのが、いわゆる死なないためのシステムづくりという奴です。
 ていうか、戦争だって相手が憎いからやるわけじゃない、土地や金が欲しいから殺すのです。ひとは殺したいときに殺したい相手を殺すのであります、何かと理由をつけてね。
 そんな「いつか殺すための理由」は必要ないでしょう。
 そのシステムを信頼するひとが賛同者を増やしたいのはなぜか。そのシステムが、賛同者が少なければ機能しないシステムだからです。これを「三方一両損システム」と言います。