絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

レノリーの話

 滅び行く惑星で死に瀕していた細長い"レノリー"は、知的生物としての誇りを忘れて共食いの日々を過ごしていた。ある日、巨大な体を横たえて死を待つばかりとなった"老いたショサエル"に出会い、死ぬまでの間彼を守ることができれば、彼の死体を食べてもいいという約束を交わす。
 生まれて初めて約束というものを交わしたレノリーは、巨大なショサエルの体にたかる"チェフォア"を追いたてることに喜びを見出す。夜毎交わす老ショサエルとの会話の中で、他者の為に生きるということの意味を理解するレノリー。
だが、誠実さを手に入れたレノリーは、チェフォアの大群に返り討ちに遭い、重傷を負ってしまう。
 約束を果たせなかったことを老いたショサエルに詫びるレノリー。しかし、老いたショサエルは傷ついた体をゆすりながら契約の満了(自らの死)を告げるのだった。
 やがて死せるショサエルの躯の中で増殖したレノリーの子孫たちは、その一個体ずつすべてが、他者の為に生きることを目的とするようになった。