絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

 ブッシュ再選に関して「キリスト教右翼」と「無知な田舎者」を敵にしようとする動きがあるようですが、ちょちょちょ、ちょっと待ってほしい、それはひどい、そんな考え方じゃ何も解決できないよ。だってそれは「」の中を入れ替えたらそのまま自分たちに帰ってきてしまう言葉じゃないか。
 問題は、ブッシュが行ってきたことや、彼を当選させることによって起こり得る事態が、多くの投票者に伝わっていない、ということだ。そしてそれは、日本でも同じように起こってきたし、これからも起こることなのだ。

 ところで話は変わるが、ぼくは、山形浩生氏と唐沢俊一氏と町山智浩氏の著書が好きだ。ただし、それは、彼らの政治思想や、人生観などといったものに興味があるからではない。彼らの文章が面白く、読むと満足感が得られるからだ。
 だからぼくは、彼らが互いに矛盾する主張を持っていても、その主張を裏付ける技術さえ保たれていれば、楽しく読むことができる。
 だがそれは、ナナメに見るのとは違う。彼らがその文章の中で意見を戦わせているときは、ぼくだって真剣だ。どちらかを応援し、どちらかの勝利に喜びを得る。そしてまた平穏な日々が訪れ、ぼくは三人の文章をそれぞれ楽しく読むことができる。
 それはまるで、プロレスのようだ。ベビーフェイスとヒールは入れ替わるから、勝敗はわからない。互いに致命傷を与えることはしないが、最大限のダメージを与える攻撃を、観客が楽しめるように仕掛ける。当たり所が悪ければ死ぬかもしれない、避けられて自爆するかもしれない。観客であるぼくは、試合の成り行きを楽しみながら、同時にハプニングをも期待してしまう。
 ぼくは議論を交わす批評家の文章が好きだ。「批評家」という団体の試合を見るのが好きなのだ。
 id:TomoMachiはだから、場外乱闘だ。三人の中ではもっともプロレス的なアングルを好むひとなので、それを楽しんでいるようにも見えるが、唐沢氏の指摘どおり「おかしくなった」と思われても仕方のない行動だとも感じる。id:TomoMachi:20041106のコメント欄でド厨房(id:jizou氏)を相手にしている姿は、町山氏のファンであるぼくは「わはは」と楽しめるが、そうでないひとにとってはあまり格好のいいものではあるまい。
 相手は素人でバカで、それを自覚している。ゆってみれば、学生プロレスの観客みたいなもんなのである。だから町山氏も技は使わず張り手だけで済ましているのだろうが、プロレスラーが素人を殴ったらダメだ。
 ほら、びっくりして隠れちゃったじゃないか。id:jizou氏が。
 それはダメだ。面白いけど、それは違う、戦う相手が違う。
 そんなことを、唐沢俊一氏の日記を読んで、思ったよ。

ブッシュに再選を果たさせたのは、マイケル・ムーア を先頭に、ブッシュを(その支持者を)バカバカバカと言い続けてきた(いや、言う ことの快感に酔っていた)反ブッシュの人々の、その態度なのだ。彼らが食べる小麦 も、大豆も、牛肉も、みんな地方の田舎者が作っている。それらを飽食しながら自分 たちを啓蒙しようとする奢った文化人たちへの、今回の選挙結果は痛烈な返礼だ。
 http://www.tobunken.com/diary/diary.html

 それが正解だとしたら、農村部のひとびとは「自分たちを締め付ける税制」と「むかつく反ブッシュ派にざまあみろという」のを天秤にかけて、後者をとったことになるわけで、悲しい。反ブッシュ派はあと四年はそのネタで食えるけど、高まる税金は誰も下げちゃくれねえのだ。
(追記)
id:jizou氏がプライベートモード解除、修正した文章をアップしています。ぼくもそうですが、素直に謝れないでグチャグチャ言う奴は全員厨房です。
あと某所よりクリップ、電子投票の激戦州で異様なブッシュ票。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041107-00000042-mai-int
 ほんとかよ、だってそれ、バレるじゃん。という。

オハイオ州フランクリン郡ガハナ地区では、638人しか投票しなかったのに、タッチスクリーン式の投票機がブッシュ氏4258票、ケリー氏260票とはじき出した。

というのが詳細不明なのですがすげえ。まだ毎日新聞にしか載ってない?の?
 上記記事追記。TomoMachi:20041106のコメント欄に書き込まれたURLによると
 実際はブッシュ365票ケリー260票、と確認済み。報じるCNN記事はこちら。
http://edition.cnn.com/2004/ALLPOLITICS/11/05/voting.problems.ap/
 エラーが連発したのは事実らしいけど、まさかねえ。

 で、今回の件に関する話題から、id:kitano:20041108さんがはてなにメールを!他にも興味深い記事があるので必読。