絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

 なんか最近疲れてるのだなあ、って思う。「こんな映画いいと思う奴はクズ」「こんな音楽聴く奴はバカ」等の言葉が、ぼくに向けられていなくても、読むと疲れてしまう。とりあえず好き嫌いの話はおいて、仲良くできないか、無理か。いや、単にぼくが疲れていて、何かを憎んでいるという話よりも、何かを愛しているという話を読むほうが楽しい、というだけなのですが。
とか書いてたらタイムリーな文章が。
id:takex:20040609

俺が「面白い!」と思ったものを知り合いとかに「つまらん」って言われるのも寂しいけど、逆に周りが「面白い!」って言ってるものを俺が見たり読んだりしてつまらないともっとショックだ。

そうか、ショックなのか。
 ぼくは好きな作家が好きな日記でけなされているのを見ると、なんだか寂しい気分になるので、言葉が通じない不安に近い感情なのかもしれないな、と思いましたよ。たとえば好きで読んでいた日記のひとが、たなか亜希夫氏が『モーニング』で連載はじめたときに、訳知り顔で「井上雄彦のアシスタントか?」なんて書いたしているのを読むと、うーんとうなってしまいます*1
 感性なんて言葉はいやらしくて、あまり好きではありません。何かを面白いと思うことや、つまらないと思うことは、単に知識の組み合わせで生まれる感覚であって、能力の差で変わるものではないと思うからです。知識の至らない世界で「いい」「悪い」と言い合うのは、なんか、こわい。
 でも「クズ」だ「バカ」だと断言するひとも、批判されたときのぼくと同じように、寂しいから「わーっ」て言うのかな、と思ったら気が楽になりましたよ。TAKEXさんありがとう。

*1:芸歴の長さと、絵柄の変遷を見るに、むしろ井上氏の方が影響を受けた側だと思える