絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

 今更ながら『鋼の錬金術師』を読んだ。うまい、べらぼうに脚本がうまい。泣かせ所おとし所「しかるべき人物がしかるべき場面でしかるべき台詞を言う(榎本俊二『映画ににぎりっ屁』より)」面白さ、最新巻まで一気に読んでしまった。
 ひとくちで言うと、主人公が重荷を背負っておめおめと生き、周りで人がバタバタ死ぬジャンルのマンガだ。
 おれは「死ぬべき人物が死ぬべき時に死ぬマンガ」は好きだけど『鋼の〜』はあまり好きじゃない。ベタすぎる、戦争映画で新兵が故郷で待ってる恋人の写真を取り出して皆でからかう場面(もちろんその後で新兵はあっけなく死ぬ)くらいにベタすぎる。そんなに「はいこの人これから死にます演出」をされると、うん、とうなづいて、終わってしまう。それともおれは『ベルセルク』『トライガン』『ヘルシング』でベタとベタの破壊を見過ぎたのか。
ワッハマン』最終2巻を超える衝撃を期待したい。
 あ、コピーの「取り戻せ、すべてを」というのはうまいなァ、と思ったよ。
(追記:みんな「生き残る負い目」の歯がゆさみたいなものを実感して、あのマンガを評価しているんだとしたら、あとに挙げた三作も当然読んでるよな?アッタリマエだよな?はてなキーワードに引用されてる『痛みを伴わない教訓には意義がない』っていうのも、どうかと思うよ。マンガ読むのは痛くない、マンガを読むことで失われる時間が痛いんだ。マンガ読み狂ってる僕みたいな人はどこかで元を取らないといかんのではないかと思いますよ。)