絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

 「ファインディングニモ」感想続き。主人公のニモはユダヤ系で片親で奇形だが、日本で大々的に宣伝される子供向けの実写作品でメインテーマにならずにこういう主人公が出ることはない。誘拐されたニモに生きる指針を与える水槽の仲間たちは皆精神を病んでおり、ニモと同じ障碍を持った熱帯魚はネイティブアメリカン的な「深夜の儀式」を行う。もちろんそれらはサメの互助会やオーストラリア海流を疾走するウミガメたちと同じく、寓話的である故に一つの印象にとらわれることはない。
 寓話を厭う人はそこに肉の不在を見るのだろうが、それならばフィルムに映った影など見ないでさっさと劇場から出て行けばいいと思う。映画を愛すると言いながら、アニメをアニメであるというだけで否定する人を、僕は「ちんぽ主義者」もしくは「メコスジスト」と呼ぶことにする。