絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

劇団うわの空『水の中のベースボール』

 劇団うわの空のライブに行った。アドリブ応酬の緊張感とか、舞台上で(役者として)追い詰められて、つい素で笑っちゃう楽しさとか。稽古に参加しているような雰囲気、良い意味で。相変わらず座長のネタが僕好みで、展開を先読みして笑ってしまう。前フリからオチる直前の動きで、来るぞ来るぞと思いながら「プフ」とふきだしてしまうのだ。これと、笑うときに手を叩くクセ、治さないとな。来年の春には紀伊国屋で公演だそうで、とても楽しみ。終わってすぐに後ろの席に座っていた唐沢俊一さんに挨拶したら、「女子高生じゃなくて残念だったよ」と言われ、またアワアワする。よ、読まれた。

2004 4 30 追記
 紀伊国屋の舞台、を初日に観た。
『水の中のベースボール』
 一緒に行った友人はホロリと泣いていたが、ぼくは泣けなかった、なぜなら悔しかったからだ、観ながら笑いながら、ぼくはずっと「ああちくしょう、ぼくならこう書く/演出する/演じるのに」と叶わない欲望を煮えさせていたのだ。
 ぼくは10年ほど演劇に関係する仕事をしている、自らが主催する劇団での公演も二回打った、うまいもへたも見分けはつくと思っているし、だからこそつまらない演劇を見たら悪態も吐く。
 演劇が、ぼくみたいな頭の固い審査員による採点制なら、うわの空は低得点だ。
 だけど、悔しい、面白いんだ、むちゃくちゃ面白い。
 ぼくは野球をよく知らない、だから、蓮實重彦の『スポーツ批評宣言』を読んだ。すると、その本の中に、答えは書いてあった。知っていたことでも、書かれると、苛立つより前にため息が出る。

潜在的なものが顕現する一瞬に立ち会い、その予期せぬ変化を誰もが自分の肌で感じるということ

 運動することの美しさ、動物であることの面白さ。
 うわの空が作り出す空間は、美しい