絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

2000/9/5
今日はものすごく味のないはなし。

昼に仕事で千駄ヶ谷に行っていたのですが、帰りの電車を乗り違えてしまった為、僕は仕方なく○○○で降り、○○行きの電車を待っていました。
ベンチに座り、さっきキオスクで買った週アスをひろげ「さーて今週の平石一美は?」なんてへらへらしていると、突然の警笛が。
ホームの中程で止まる電車。
見るとホームの端に傘が倒れてました。
傘だけが。

しばらくすると僕と同じ悪趣味な蛆虫達が死体見たさにわらわらと集まってきました。電車とホームの隙間をしゃがんでのぞきこむ老婆、嬉々とした顔で携帯電話をかける中年紳士、大きな声で「飛び込んだんだよ!ふらーっとさあ」と話す目撃者。なんてステキな味のない光景。やがて「○○方面の車両を臨時運行します」とアナウンスが流れる中、健全な若者が僕たちを汚いものを見る目で睨みながら○○方面へと消えて行きました。

僕の立った位置からは、車輪のすきまから背中と濡れた後頭部が見えていて、それはゆうるりと、首を左右に動かしていました。

隣にいたサラリーマンが僕に
「生きてますね」
と言ったので僕は
「かわいそうですよね、飛び込んだのなら死ねなくて」
と言いました。
サラリーマンは黙ってしまいました。

駅員が担架で運ぶのを追いかけるように蛆虫の群が移動していきます。
僕はなんだか面倒くさくなってしまったので最後まで見ないで帰りました。