絶叫機械

造形する脚本家、麻草郁のブログ。

読書

本を読んでみたいけど、どうすればいいのかわからん人への簡単なアドバイス。

ぼくが本をよく読むようになったのは、子供の頃から家に本が大量にあったからでした。おぼつかない頃から暇つぶしの相手は本でしたから、わけもわからず筒井康隆や小林秀雄に出会ったりしていたわけです。 なので、本を読んだことがない人は、まず本を買うと…

天才は嫉妬される。

だが、嫉妬されたからといって、天才が証明されるわけではない。 魂の重さは何グラム?―科学を揺るがした7つの実験 (新潮文庫)作者: レンフィッシャー,Len Fisher,林一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/03/28メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 29回この…

何をするのかしないのか。

どうにも、自作を解説するのが好きで困る。第一にあまり格好よくない、第二に浮かれている、第三にみっともない、全部同じか。ひとによっては魔法が解けるなどと言うし、そもそも作品が世に出てないうちから自作について語るなどということは、誰の役にもた…

かんがえるはやさ、思考の速度。

速度とは、時間を区切ってその中でどれだけ移動しているかをはかる目安のことだ。だから「思考速度」というときは、まず思考にとって移動って何なのかを示さなきゃいけない。 「ケータイ小説大賞」というものを獲った小説が、たいそう「面白い」という話を聞…

あかんではないか。

秋葉原通り魔の前に、まずは、共感能力の話をする。 おれが今、話しかけているおまえは、実は本当のおまえではない。おれの頭の中に生成された、おまえの複製品だ。 話していて、気が合う仲間であるとか、雰囲気がいいとかいうのは、その頭の中に生成するの…

関わりたいひとびと

ナンシー関の「信仰の現場」みたいなことを書こうと思ったけど、だったら読めばいいんじゃん、って思ったので紹介するだけにとどめる。タイトルの「関わりたいひとびと」は、「信仰の現場」に学んだことを発展させた話になる予定だったんだけど、眠いからあ…

カレーと肉じゃがの違い。

ここ数日こちらのエントリに対して延々文句を書いているのですが、今日、こんなメッセージをもらいました。要約して紹介します。 科学と宗教をごっちゃにしちゃ駄目だ、という話。 利己的遺伝子の話を分からないと駄目? >人間はその原因を探るのだ。それは…

ほにゃにゃか。

「ゼロ年代の想像力」(SFマガジン)が話題の宇野常寛さん率いる「第二次惑星委員会」のサブ・カルチャー総合誌『『PLANETS VOL.3』が発売されました。 http://www.geocities.jp/wakusei2nd/p3.html(「タコシェ」「千石空房」にて発売中)

著作物は、燃やしても良いものか。

前に話題になった、ゲームソフトを燃やしたアイドルの件について、一番気になったのは謝罪文だった。 自分の写真集、DVDがそうされたらどう思いますか。というご意見もいただきました。わたしは、もし、その人にとって興味の無いものに「なった」のだった…

ひとかたまり

筒井康隆の『玄笑地帯』が本棚からごろりと転がり落ちて来たので今日はその話を書きたい。本はばさりと落ちるのではないかと思う向きもあろうが、わが宅の本棚はその前にうずたかく本が積み重ねてあるために本棚から落ちた本はばさりとなるまえにごろりと転…

間違えた

ずいぶん前にアマゾンのカートに入れたまま「今は買わない」にしていて、この前新書をいろいろ買ったついでにカートに戻したティム・オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』を読んでいて、面白いんだけどなんか違和感があって、なんだろうと思っていたん…

仕事で前向きなことばかり書かなきゃならない。

http://www.wound-treatment.jp/next/dokusho41.htmで紹介されていた『親指はなぜ太いのか』という本を読んだ。霊長類の手と口は主食で変わる、生活域が変われば主食も変わる、追いつめられれば何でも食う、人間の手と口が今の形になって二足歩行を始めたの…

『書きたがる脳』を読んだよ。

私はよく「これはいい寝言ポエムだ」と言う。この場合の「寝言ポエム」はいわゆる一般に伝わっているものとは様子が違う。ふつうに言う「寝言ポエム」はポエムの態を成していないものを指すらしい。私はそれを随分優しい言い方だと思う。 「寝言ほざいてない…

読んだ、読んでる。

小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波 科学ライブラリー92)作者: 岡ノ谷一夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/06/11メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (22件) を見る書きたがる脳 言語と創造性の科学作者: アリス・W・フラハティ,茂木健…

味の走馬灯。エア。

あるひとの書いた「焼き牡蠣を食べた」という日記(写真つき)を読んだら口内に焼いた牡蠣の感覚がうっすらと立ちのぼった。奥歯を押し返す弾力、ほくほくと焼けた肉がほぐれ、口内で溶けていく。猛烈に食欲を刺激され、焼き牡蠣!どこ!?と思ったが、ふと…

うーんすごい、閑居して不善をなしすぎる(私が)。

先日の被害妄想騒ぎ(私が騒いでただけ)は、相手方のコメント削除という結果に落ち着いてしまったので重ねて書きますけど、私が悪いんですからね。私が相手のコメントから悪意を勝手に感じ取って、ショックを受けて、騒いで、鎮まって、謝った、ってことで…

本当は紹介したくない。

深町さんには嫉妬している、だって書くエントリほとんどブクマしてる私にしてみれば、新刊が出るから紹介するなんてどれだけ好きなんだって話になってしまう。だけどそこで紹介しないのもケツの穴が小さいというか狭いというか締りが良くてたまらんのでそう…

愛憎劇としての野球。

元気そうな手紙で安心しました。けれど無理はしないでくださいね。 そうそう、あの話が載っていたのは、塚本邦雄の『麒麟騎手』です。 私も勘違いをしていて、野球を九人の唖に例えたのは寺山でした。未刊詩集の中にある短編だそうで、もしかしたらもうどこ…

『日本残酷写真史』という本を読んでいる。面白い。日本残酷写真史作者: 下川耿史出版社/メーカー: 作品社発売日: 2006/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 97回この商品を含むブログ (14件) を見る 感想は読み終わってから。

百万人のシェイクスピア

おれはファック文芸部というのに参加しているのだが、そこでは日夜文芸に(以下略) この情報洪水の怪物的な恐ろしさとは、それが美によって美を粉砕し、真実によって真実を破滅させるという点ではないのだろうか? というのも、百万人もシェイクスピアがい…

さいきん買った本

『システムの科学』ハーバートAサイモン 『進化と人間行動』長谷川夫妻 『ヴァーチャル・ライト』ウィリアム・ギブスン 『忍法八犬伝』山田風太郎 『テロリストのパラソル』藤原伊織

『テロリストのパラソル』読んだ。

こりゃ映画の『オールドボーイ』でないの、と思って初出を調べたら『テロパラ』が1995年で映画の原作となったマンガの『オールドボーイ』が1996年から1998年だった。前に誰かが言及していた気がするけど、その時はまだ『テロパラ』読んでなかったので「ふう…

同じことを何度も訊かれるのはなぜか。

「どうしてこんなのが売れるわけ?」 今日もベストセラーの棚には凡庸な本が並んでいる。うちのボスはそれを見ておれに訊く。「どうしてこんなのが売れてるわけ?」おれはそれらの本に合わせて売れている理由を考え説明するが、ボスは納得しない。いちおう「…

エドモンド・ハミルトン『反対進化』

いきなり自分の話だけど、むかし入院した時に、ある知人がドサドサと本を見舞いにくれたことがある。その知人は時代ものが好きだったので、山本周五郎の短編や、山田風太郎の忍法帳を古本屋で買って来ていた。その中にカタカナの著者名がいくつかあった。 「…

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』

只今映画秘宝4月号に高橋ヨシキさんが書いた「実際にあった悪魔祓い事件『エミリー・ローズ』の語られない真相」のコラムで紹介されていたジュリアン・ジェインズの『神々の沈黙』を読んでおります。 これは面白い、ぜひ皆さんも読むべき。紀伊国屋に行けば…

イーガン『順列都市』『宇宙消失』

『博士の愛した数式』という作品に、素数は美しいという話が出てくる。普通のひとが風景や絵画を美しいと思うように、数学者は数式を美しいと思うのだ、と。それを指して「斬新な発想だ」とか言うらしい。そんなのはSFが数十年前に通過した場所だ!お前ら…

ハリイ・ハリスン『テクニカラー・タイムマシン (ハヤカワ文庫 SF 193)』

ずいぶん前に読んだのだけど、今日見たビデオ映画企画のあらすじを見て思い出したので、感想を書く。『テクニカラー…』のあらすじはこんな感じ。 食い詰めた映画監督バーニーは、豪腕なプロデューサーをうまく乗せ、資金を出させて開発したタイムマシンを使…

グレッグ・イーガンの『順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)』

もうすぐ上巻が終わるところ。 「ネットワークの中の仮想現実で走るプログラムとして存在する男」というのが出てきて(乱暴な説明だけど)、さまざまな実験をする。数を10数える間、世界中のコンピューターに自分を分割したり*1、時間を逆転させたり*2、途…

明日発売だよ!『嫌オタク流』

緊急出版! ぼくらはみんな“萌えカス”になってしまったのか!? 誰も語らなかった、もうひとつのオタク論(目次参照)。本書を、「オタクこそが優生種族である」「市場原理によってオタクはオタク以外のものを淘汰した、我々の勝利だ!」と無邪気に信じている…

日本ホラー小説大賞受賞作『夜市』垣川光太郎

読み終わって一番ふしぎだったのは、こわくなかったということ。びっくりして読み直したが、やっぱりどっこもこわくない。なんだこれ。そういえば、主人公が頭と終わりにしか出てこない、真ん中でちょっとゴネるけど、物語には影響しない。それで「ああ、探…